■ラファエロの名画の中に入り込んだ気分
およそ1時間かけて南斜面のスロープを上り、遂にアクロポリスへの入り口を見上げた時は言葉にならない感動を覚えた。古代建築の高い円柱の先には、抜けるような真っ青な空しか見えず、息を呑むような絶景に思わず足を止めて見入った。この階段と円柱を見ていると、ルネサンスの巨匠ラファエロの名画『アテネの学堂』が自然と頭の中に蘇ってくる。
ソクラテスやアリストテレスを中心に、古代ギリシャの哲学者、文学者などを描いた作品は、ヴァチカン博物館で何度も目にしている。眺めるたびに見惚れていた絵画の舞台が目の前に存在していると思うと、心が震え出すのを感じる。まるで名画の中の登場人物の一人になったような不思議な気持ちで階段を上り、人類が創造した最も貴重とも言える聖域へと足を踏み入れた。
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