■下山後も体力に余裕あり! いざ温泉へ!

下山後の山裾の広がる街

 下山し、再び藤野駅へ到着した時、もう一つの違いを発見した。体力にかなりの余裕があるのだ。いつもであれば靴を履き替え、バスまでの時間を休憩して過ごし、立ち上がる際も「どっこらしょ」といった感じになってしまうのだが、今回はパッと立ち上がってバス停へ行ける。

 パッキングを変えたことで体力の消耗が抑えられたのだろうか。距離の長い縦走のパッキングでも試したいと考えていると、温泉へ向かうバスがやってきた。

 乗り込み、いざ温泉へと意気込んだが、到着すると休館日。筆者が利用した際にはいつも開いていたので、チェックを怠っていた。

まさかの休館日! 営業日はしっかりとチェックするべきだった

 温泉で汗を流して街歩きの予定だったが変更し、藤野駅まで歩いて帰ることに。バスに乗っているとあっという間に通り過ぎてしまう景色をのんびりと1時間かけて歩き、藤野駅まで帰ってきた。

 温泉は残念だったが、パッキング次第で街も快適に歩くことができると実感したラスト1時間だった。

日連大橋から遥か山並みを望む

■CAパッキング術を登山へ流用するポイント

バックパック内で中身が動かないよう、防寒着で隙間を埋める

 CAパッキング術の動画ではスーツケースに海外旅行1泊分の荷物をパッキングするという内容だった。動画内では「スーツケースを引いて移動しやすくするため、重く大きいものは下へ配置」といった内容もあったが、そのまま登山への流用は難しい。今回はポイントをピックアップし、登山のパッキングへアレンジして活用することにした。

 最初に筆者がピックアップしたのは、「隙間をなくすように詰め込むこと」。動画ではスーツケースの隙間へ次々と鮮やかな手つきで荷物がセッティングされ、デッドスペースがなくなっていた。さらには、お土産などを入れる余裕まである。

 では、どうやってそのような状態をバックパック内で作るのか。次にピックアップしたのが、「柔らかいアウターなどで固いものや割れ物を包む」というテクニックだ。動画では折りたたみ電気ケトルをアウターで包み、保護しつつ動かないようにある程度固定していた。

 これを筆者は、バックパック内で荷物が動く原因になるデッドスペース解消にアレンジした。具体的には防寒着などをスタッフバッグに入れた状態でバックパックに収納することをやめ、形の変えられない靴やクッカーなどをバックパック内で背中へ押し付けるように、レインジャケットや防寒着で包むことにした。

 そうすることで、バックパック内で荷物が揺れ動くことがなくなる。さらにお土産などが増えても防寒着などのたたみ方を変えれば、スペースを得ることができるだろう。

 これにより、登山のパッキングの基本である「軽いものは下、重いものは上かつ背中側」をより高い精度で実行できると感じた。

バックパックのサイドジッパーからレインウェア・パンツはすぐ取り出せる位置に配置

 また、スタッフバッグに衣類を詰めないことでパッキングの形状が自由になり、バックパック内に隙間が生まれず、行動中に中身が揺れ動くこともなくなった。

 ただし、スタッフバッグへの収納をやめてしまうと防水できなくなってしまうので、パックインナーやザックカバーといった防水対策は必須だ。

 これらを実践することで、バックパックの背負い心地とフィッティングが向上、体力の消耗も抑えられ安全登山にも繋がると体感できた。

 その他にも入浴セットを試供品でミニマム化したり、荷物を定番化してパッキングを効率化するといったテクニックも登山での活用が簡単なのでおすすめしたい。

試供品のシャンプー類を活用して、荷物をミニマム化(隣のカロリーメイトはサイズ比較用)

■パッキング術を見直し、楽に背負って、山裾の街も満喫しよう!

街歩きのお供に小さなリュックやウェストポーチもおすすめだ

 山を楽しみ、さらに山裾に広がる街を歩くことも楽しむ。そんなスタイルで登山を楽しむのがいつの間にか筆者の定番になっていた。

 そういったスタイルで山を歩くと、30Lクラスのバックパックに荷物を詰め込んで歩くことになり、体力は通常の登山よりも消耗してしまっていた。しかし、今回CAパッキング術を活用してパッキングをアップデートしたことで、余裕を持って自分のスタイルを楽しめることがわかった。

 これらもCAパッキング術を活用して自分流のパッキングを追求し、より快適に山と街を楽しむ登山を続けたい。

参考動画:「JAL、サブチャンネルはじめました。」