■拝殿が国宝に指定されている桜井神社

 そして上神谷地区には、拝殿が堺市で唯一の国宝である神社が鎮座する。桜井神社だ。

桜井神社の正面鳥居

 栂・美木多駅から歩いて約25分。2019年に建てられた巨大な朱色の鳥居をくぐると、1702年に再建されたという神門がある。

桜井神社の神門

 創建は不詳だが6世紀以前とも伝えられ、祭神は仲哀天皇、神功皇后、応神天皇。神功皇后は仲哀天皇の皇后で、応神天皇は二人の皇子である。

 門を越えて目の前にあるのが、国宝の拝殿だ。鎌倉時代前期の建立とされ、現存する拝殿建築の中ではもっとも古いと考えられている。

国宝の拝殿

 また、桜井神社は神社の名前でもある種の人たちに人気だ。それは、アイドルグループ・嵐のファン。桜井が櫻井翔の名字と同じだということで、ファンの参拝が多い。

 たしかに絵馬を見ると、休止している嵐の活動再開やメンバーの健康などを祈願したものが目につく。また、Mr.Childrenに関する願いを書いているのは、ボーカルの桜井和寿にちなんだものだろう。

 桜井神社では、毎年10月の秋祭りには「上神谷のこおどり」が奉納され、こちらは国の選択無形民俗文化財。同じ日に5台のだんじりによる宮入も行なわれる。

 新しいエリアと歴史のある地域が、きっちりと区分されている。栂・美木多駅界隈は、そんなイメージが強く感じられる地域ではある。

つづく