ルアーで狙うヒラメやアイナメなどの根魚は主にボトム(海底)を探る底モノの釣りとして、多くのアングラーに人気がある。しかし、周囲の人々が調子よく竿を曲げているのに、なぜか自分だけ釣果がない、そんな悔しい経験をした人も多いのではないだろうか。
初心者ならまだしも、自称“中級者”のつもりでいても、釣れない日々が続けば自信もなくなってくる。釣れれば楽しい反面、自然相手の難しさに直面することもあるのが釣りである。
今回は、筆者がいつもお世話になっている遊漁船アーネストの船長・佐藤尚行氏(以下佐藤船長)の船に乗船。初心者からベテランまで安定した釣果を提供し続ける、ガイド歴25年、この道のプロである佐藤船長が精通する底モノの釣りでコンスタントに釣果を得るためのコツを伺った。
■ヒラメやアイナメのルアー釣りで覚えたいテクニック4選!
「釣れない時間が続いたら、ロッドの持ち方や動かし方を見直してみてください」と佐藤船長。ロッドの持ち方や動かし方ひとつで、感度がよくなったり、魚を誘いやすくなったりすると言う。また、根がかりも外しやすくなるので、ぜひとも覚えておきたい。ここでは、佐藤船長が基本とする釣れるテクニックを4つ紹介するので参考にしてほしい。
●感度が上がるグリップの握り方とロッドの角度
ルアーでボトムを探る際は、グリップを強く握らないことが重要。「無意識に強く握りがちだが、感度が悪くなって魚からの微かなアタリを逃してしまう」と佐藤船長。ロッドの感度を生かすためには、軽く握った手の中でロッドがわずかに動く程度がよいとのこと。ただし、アワセを入れる際は瞬時にしっかり握り、ロッドエンドを肘に当てる(ロッドエンドが長い場合は脇に挟む)のがポイントだ。
●釣果を左右する! ラインを見ながらの釣り
ラインを見て釣りをすることはとても重要。佐藤船長曰く「ラインを見ていないとロッドに伝わる前の最初のアタリに気付かず、魚を逃してしまいます」とのことだ。魚の活性が高いときはロッドの反応を見ているだけでよいのだが、高活性の魚以外は、ルアーを咥えたらすぐに吐き出してしまう。口に咥えた一瞬を逃さず、ハリ掛かりさせるためにはラインの動きに出る僅かな変化を見逃さないようにする。
さらに佐藤船長は「ロッド先端の変化に注力する人が多いですが、最近のロッドは性能が向上しているのですぐにアタリが伝わる。それよりも、ラインの動きを見るほうが、ロッドより早くアタリを察知できるので、釣果は確実に上がります」と続けた。
海底付近の岩礁帯にいる根魚を狙う底物の釣りでは、キャスト後に着水したルアーが海底まで落ちていく間(フォール)にラインがリールから送り出され続ける。ルアーが海底に着く前にラインの動きが止まったり、ゆっくりになったり、変化があった場合は魚の反応である可能性が高い。
また、ラインが横に動くなどの不自然な動きも同じだ。いずれにせよ、ラインの変化を見ていれば、魚からの情報が得られる。
ラインを見る釣りは一見したところ、中級者以上向けの技術のように感じるが、意識して実践すれば、初心者でもコツを身につけられるという。
●しっかりルアーを動かすロッドワーク
ルアー着底後、ロッドを動かし、リールを巻いて、ルアーに動きを与えて魚を誘うのだが、ルアーを動かす際にはなるべくロッドを立てるようにしたい。ロッドを立てて持つことでバランスが良くなり、軽い力で握れるようになる。ルアーを動かすためのロッド操作は基本的にロッドの先端が上を向くように動かす。ロッドの先端が頭の後方を向くように動かすことが大切。垂直になるあたりで止めてしまうと、水中にあるルアーが思ったほど動かず、魚に対してのアピールが少なく反応を得られにくい。状況によりロッドを寝かせて操作する場合もあるが、ロッドの先端が後方に向くまで大きくルアーを動かすのを基本として覚えておくとよいだろう。
●根がかりでルアーを無くしてばかりでは釣れない!
アイナメなどの根魚が生息する岩礁帯での釣りでは、たとえベテランでも「根がかり」が頻発する。根がかりはルアーを紛失するだけでなく、ラインシステムの接続をしなおす作業がその都度必要になるため、釣りする時間が減ってしまい、釣果に影響する。佐藤船長は「根がかりのほとんどはオモリ(シンカー)が岩の間に挟まって起こる現象です」と話す。
また「根がかり」の頻度は、前述したロッドの握り方にも関係している。ロッドを強く握っていると、シンカーが岩に挟まった際により深く食い込んでしまう。ロッドを軽く握り「根がかり」を感じたら決して強く引かず、ロッドを寝かせてラインを送り込むイメージ。ラインテンションを張ったり緩めたり、これらを繰り返すことで「根がかり」を外せることが多いと言う。
また、シンカーの材質は鉛製が有効である。「鉛は柔らかいため、岩に挟まってもシンカー本体が削れて外れてくれる可能性が高い。ブラス製やタングステン製の硬質なシンカーは岩に挟まると外れにくいです」と佐藤船長。また、形状は中通しタイプが根がかりを防ぎやすいとのこと。これらのポイントを踏まえれば、「根がかり」でのルアー紛失を減らすことができるだろう。