■「キッチン用消火スプレー」を使った消火方法

「キッチン用の消火スプレー」は緊急時に頼れる存在だ

 キッチン用の消火スプレーとして使われることが多い「エアゾール式簡易消火具」は、予期せぬ突風などの緊急時や、急な撤収で素早く消火したいときに役立つ消火具だ。消火スプレーの製品表示に「小規模普通火災適応」とあるものなら、焚き火の消火にも使用することが認められている。

 ここで筆者が焚き火歴まだ2年目くらいのときに味わった恐怖の体験を紹介したい。キャンプ場でのことだ。たまに微風が吹く程度だった風が徐々に強まり、火をどのように消そうか迷っていると、いきなり突風が吹き荒れて、なんと3cm角くらいの熾き火(おきび=赤く燃えた炭)が数個、打つ手もないまま隣のサイトに飛んでいってしまったのだ。

 幸いけがも被害もなかったが、パニックになりかけたのは言うまでもない。強風を察知した段階で、適切に消火できていれば、危険な目に遭うこともなかっただろう。

 「エアゾール式簡易消火具」を今回のキャンプでも実際に使ってみたが、火元に向けて噴射すると5秒ほどで立ち上がっていた炎が消え、続けて20数秒ほど消火スプレー剤がなくなるまで噴射すると完全鎮火し、あらためてその威力に感心させられた。

 ただし、火種の温度や多さなどによってはこの通りではないだろうから、鎮火したように見えても、水につけるなどさらに安全を心掛けてほしい。なお「エアゾール式簡易消火具」は家庭のキッチンの防災にも役立つので、常備しておくのもおすすめだ。使用前には表示や使用方法を確認し、いざというときに備えて一度練習しておくとよいだろう。

■焚き火は消火のスキルがあってこそ心から楽しめる

暖かく癒される焚き火だが、確実に消火するスキルを身に付けてこそ楽しめる

 焚き火を楽しむためには「消火」のスキルが欠かせない。今回紹介した3つの消火方法と、筆者が経験したような予期せぬことが起こり得ることも頭に入れておいていただければ、いざというときもしっかりと対応できるだろう。またキッチン用の消火スプレーを備えておけば、家庭の防災対策にもなり安心だ。楽しい焚き火の後は、しっかりとした方法で火の始末を徹底しよう!