秋といえば、紅葉。日本には紅葉を楽しみながら登山ができる山が数多くある。今回はその中で「日本三大渓谷美」のひとつにも数えられている小豆島の「寒霞渓(かんかけい)」について、登山未経験の筆者が実際に登ってみたので、レポートをお届けする。

■「日本三大渓谷美」のひとつ、小豆島の「寒霞渓」

寒霞渓の奇岩と紅葉

 寒霞渓は、瀬戸内海に浮かぶ小豆島にある渓谷。多種多様の奇岩と崖地ならではの絶景を楽しむことができる有名な観光スポットだ。これらの奇岩は、約1300万年前の火山活動によってできた安山岩層や火山角礫岩(かくれきがん)層などの岩塊が、長い年月の地殻変動や風化と侵食によって作られた。

 この特異な地形とその絶景から、「日本三大渓谷美」のひとつに数えられている。寒霞渓には、登山道はもちろん、崖上から渓谷を楽しむことができるロープウェイも整備されており、秋の行楽シーズンには多くの観光客で賑わっている。

■登山をしながら楽しめる寒霞渓の「表12景」と「裏8景」

表12景のひとつ「通天窓(つうてんそう)」

 寒霞渓の登山は、主に「表12景」と「裏8景」という2つのルートが存在する。どちらもロープウェイの山麓駅である「こううん駅(紅雲亭)」と「山頂駅」の間を結ぶ約2kmの道のりだ。

 今回はじめての登山ということで、事前に小豆島観光協会に問い合わせたところ、動きやすい格好であれば本格的な装備は不要で、登山道が舗装され整備された「表12景」のルートがおすすめとのことだった。

 そこで、案内の通り「表12景」に挑戦することに。登山終わりに別の場所での観光も楽しみたかったので、時間に縛られない車を利用して訪れることに決めた。

 こううん駅に到着後、駐車場奥の登山道の入口からいよいよ登山開始。道中は木々に囲まれた道を行くことになるが、足元は敷石やコンクリートでしっかり整備されており、歩きやすい。順路通り登っていくとさまざまな奇岩と美しい景色が見られた。

 確かに奇岩と呼ばれるだけあって、不思議な形をしている岩が多い。烏帽子(えぼし)のような形をした「烏帽子岩」や屏風を立てたような形をしている「錦屏風 (きんびょうぶ)」など、その岩や景色に名前をつけた人のネーミングセンスにも感心する。訪れた際には、道中の岩や景色に、新たな自分だけの名前をつけながら歩くのも面白いかもしれない。

 景色を楽しみながら歩くと山頂駅まではあっという間で、約2時間で登ることができた。確かに、歩道が整備されているおかげで、専用装備の必要はなく、それほど疲労感もない。 

 帰りはロープウェイでこううん駅まで降りることに。登山道では間近で自然を堪能できた一方、ロープウェイでは、山に剥き出しになっている岩々と木々が織りなす渓谷そのものの美しさを楽しむことができた。