2024年7月7日に「紀伊山地の霊場と参詣道」が、世界文化遺産登録20周年を迎えた。そのなかで、三重県南部から和歌山県南部は「熊野(くまの)」と呼ばれ、古来より神々の霊が宿る聖域として知られる。

 今回は、世界遺産登録20周年記念イベントが多数あり、盛り上がりを見せる熊野のおすすめスポットとイベントについて紹介する。

■「大門坂」から「熊野那智大社」「那智の滝」をめぐる王道のコース

大門坂の石畳を歩く人たち

 熊野を訪れたら絶対に押さえておきたいのが、「大門坂(だいもんざか)」から「熊野那智(なち)大社」「那智の滝」をめぐる、世界遺産を堪能できるコースだ。 

 車で行く場合、大門坂駐車場を利用する。連休などは混み合うこともあるので、早朝から出掛けるのがおすすめ。筆者は9時頃に到着したが、混雑のため車を駐車するのに30分ほどかかった。

 バスを利用する場合は、紀伊勝浦(きいかつうら)駅発の路線バスに乗車し、大門坂観光案内所前の大門坂バス停で下車。

 那智の滝からは再び大門坂を通り、スタート地点である大門坂駐車場または、その横にある大門坂観光案内所の前まで戻る。

●平安時代から続く参詣道の雰囲気が味わえる「大門坂」

大門坂の入口付近にある石碑

 平安時代、参詣のために身分や老若男女を問わず大勢の人々が熊野を訪れた。 「熊野古道(こどう)」は、古くから人々が通った参詣道の総称である。

 大門坂は杉並木と苔むした石畳が続き、平安時代から続く熊野古道の雰囲気を存分に味わえる参詣道だ。自分が歩いているこの道を、平安時代の人々も通ったと思うと感慨もひとしおである。

大門坂のオブジェ

 石畳はゴツゴツしていて、やや歩きにくいので足元に注意しながら歩こう。

大門坂
住所 〒649-5301  和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山

URL https://www.kumano-area.jp/facility/577

●熊野信仰の中心地「熊野那智大社」と「那智山青岸渡寺」

熊野那智大社の参道にある鳥居

 大門坂を抜け大通りに合流するとすぐ、熊野那智大社へ向かう参道に入る。ここからは日陰がほとんどなく、石段をひたすら登っていくことになる。息切れして、もう登れないかもしれないと思った頃、ようやく熊野那智大社に到着する。

朱塗りの社殿が美しい熊野那智大社
熊野の神様のお使いとされる、八咫烏(やたがらす)の像

 熊野那智大社は、隣接する「那智山青岸渡寺(なちさんせいがんとじ)」とともに熊野信仰の中心地とされ、朱塗りの社殿と木々に囲まれた境内には神聖な空気が漂う。

熊野那智大社付近からの眺め
御神木のクスノキ
御神木の中を通り抜けることができる

 熊野那智大社の前にある御神木は、樹齢850年と推定されるクスノキだ。高さ約27m、幹回り約8.5m。幹が空洞化しており、護摩木(ごまぎ)や絵馬を持って通り抜ける「胎内(たいない)くぐり」ができる。

天然木の質感が趣深い那智山青岸渡寺
那智山青岸渡寺付近から見た三重塔と那智の滝

 那智山青岸渡寺のすぐそばには、三重塔と滝を撮影できる絶好のフォトスポットもある。筆者のおすすめは、三重塔まで下った場所からのアングルだ。

絶好のフォトスポットから撮影した三重塔と那智の滝

熊野那智大社
住所 〒649-5301  和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山1
電話 0735-55-0321(7:30~16:30)

URL https://kumanonachitaisha.or.jp

※営業日時はホームページよりご確認ください

那智山青岸渡寺
住所 〒649-5301  和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山8
電話 0735-55-0001(8:00〜16:00)

URL https://seigantoji.or.jp

※営業日時はホームページよりご確認ください