毎年、筆者が晩秋から冬にかけてよく訪れる山域が伊豆だ。伊豆は熱海、沼津を玄関口に南へと延びる半島で、冬でも雪のない登山を楽しめる山が多い。10月下旬あたりから潮風を感じながら快適に歩けるのは伊豆の山ならではの魅力だ。

 今回は伊豆の山でも特に筆者が好きな、金冠山(きんかんざん・標高816m)と達磨山(だるまやま・標高982m)に登るコースを紹介したい。 

■だるま山高原レストハウスから金冠山へ

 紹介するコースの起点となるのが「だるま山高原レストハウス」。レストハウスでは食事ができ、展望も素晴らしい。ハイカーだけでなく、観光客でも賑わう場所だ。

 筆者が訪れた時には野鳥観察のイベントが開催されており、多くの野鳥愛好家で賑わっていた。

 だるま山高原レストハウスから50mほど歩くと、金冠山への登山道が見えてくる。金冠山は「日本100低名山」に選ばれており、山頂からは富士山を望むことができる。

 魅力はそれだけではなく、だるま山高原レストハウスから金冠山までの登山道が歩いていてとても気持ちがいいのだ。

金冠山へと向かう登山道。きれいな芝生が続いていて気持ちがいい

 まるで整備された公園にいるかのように芝生の道が続いており、登山というよりは公園内を散歩しているような気分になる。山頂直下までは起伏も穏やかなので、気持ちよく歩けるだろう。

 達磨山方面との分岐を過ぎると、金冠山まで少し勾配が急になる。とはいえ分岐点から山頂までは5分ほどで、急がずにマイペースで歩けば疲労を感じることなく登れるだろう。

金冠山山頂からの眺め

 山頂からは、北に富士山と駿河湾を望み、南には達磨山が見える。東には箱根の山、西には駿河湾と太平洋をつなぐ海が広がる。360度の大パノラマだが、見る方角によって景色が大きく異なる。

 山頂にはスペースがあるので、休憩にもぴったりだ。このあとに登る達磨山は山頂のスペースが十分ではないので、食事は金冠山山頂で済ませておくのがおすすめ。

■大海原を眺めながら稜線歩き! 小達磨山を越えて達磨山へ

 金冠山をあとにし、分岐点から戸田峠(へだとうげ)へと向かう。戸田峠からはアップダウンを繰り返しながらの稜線歩きになる。金冠山までは樹林帯歩きだったが、戸田峠から達磨山までは背の低い木が多く、景色を楽しみながら歩けるだろう。

駿河湾と麓の戸田(へだ)港。高度感を感じる景色

 両側を笹に覆われた登山道で、富士山をバックに右に海を望みながらの山歩きは伊豆の山だからこその光景だ。涼しい潮風を感じながらのハイキングは何度訪れても気持ちがいい。

 達磨山へと向かう途中にある小達磨山(こだるまやま・標高890m)の近辺は笹や木々が背を伸ばしており、眺望がない。登山道上に標識が立っているだけなので先へと進もう。

達磨山山頂にある標識

 金冠山からおよそ1時間30分で達磨山に到着する。達磨山の山頂からは先ほど登ってきた金冠山や富士山。晴れていれば、南アルプスまで望むことができる。

 南には伊豆稜線歩道が延び、天城山を望むこともでき、海と山の景色も堪能できるだろう。