■楠木正成の死後350年も経って徳川光圀が墓碑を建立!
スマホでその生涯をザッと読んだだけだが、やだ正成カッコいい……! 私利私欲のないその忠誠心溢れる生き方に憧れる人は多く、「助さん、格さん、やっておしまいなさい」で有名なドラマ「水戸黄門」のモデルで知られる徳川光圀もその一人だった。元禄2年(1689)、光圀は正成最期の地であるこの湊川に墓碑を建立し、「嗚呼忠臣楠子之墓 (ああちゅうしんなんしのはか)」と刻んだのだった。正成公が死んで350年も経っているのにお墓を建てる光圀。楠木正成リスペクト、すさまじい……。
そしてこの墓前は、幕末の志士たちのパワースポットとなっていく。吉田松陰・高杉晋作・伊藤博文・坂本龍馬・西郷隆盛といった幕末の志士たちの多くがここを訪れ、「自分も正成公のように己を投げ打ち国事に奔走する」と誓いを立てたそうだ。そして、全国から「正成公の御神霊をお祀りしたい」という声が相次ぎ、ついに明治元年、明治天皇が神社創建の御沙汰を下された。そして明治5年、湊川神社は初の別格官幣社として創建されたというわけだ。
推しの力は神社をも建てる!
■やたら不吉な中吉が出る
では、そんな正成公の見守る前でおみくじを。
中吉! 大吉の次、二番目にいい運気ってわけね。まあまあね。……ん? いやちょっと待て。
運勢「親類まで災いをおよぼし、悩みが多いでしょう」
ししし親戚まで巻き込む災いって、おおごとじゃね(汗)? 思わずおみくじを持つ手が震えるが読み進めてみる。
願事「心配が多くその功はよくないです」よくないんかい! 待人「来ません」来んのかい(泣)。失物「出ますが、そのときは役に立たないでしょう」 それってもうゴミ(崩れ落ち)。
ほかも旅行は盗難に用心せにゃならんし、商売は利益少ないし、争事は負けるし、病気は心配だし。キーッ!
どういうことどういうこと。私は空に向かって叫んだ。
拝啓、楠木正成公。いっそはっきり言ってください。「凶」とーーッ!!
いや、落ち着けよ私。もしかしたら、コテンパンな運気を「中吉」というソフトなポジションで表現し、傷つけまいとする正成公のやさしさかもしれない。
……とか思いつつ、結局「幸福おみくじ」(500円)を引き直したのだった。おかげさまで大吉が出たが、ズルをしてしまったような後ろめたさがあり素直に喜べん!
私は御社殿に行き、「素直に、最初に引いた厳しい中吉の方を受け入れ精進します」と誓い、二拝二拍手一拝をした。
すると。
「がんばれよ……」
私をそう励ますように、曇天の隙間があき、ほんの、ほーんの少しだが、青空が見えたのだった。