■指宿市のシンボル「開聞岳」
鹿児島県が誇るもうひとつの日本百名山が指宿市にある開聞岳。鹿児島空港から車でアクセスする場合は、九州縦貫道経由で1時間30分ちょっとの道のりだ。
「かいもんだけ」という名称は、錦江湾の入り口となる海門に位置することにちなむという。標高924mとそれほど高い山には感じないが、薩摩半島最南端の海岸沿いにそびえているため、海のすぐ側が登山口。高低差900m近くと、なかなかの登りごたえだ。また、左右均等に裾を広げた円錐形の姿は存在感があり、その美しい山容から「薩摩富士」との呼称もある。
山麓にある「かいもん山麓ふれあい公園」が登山口にあたり、ここが山の2合目にあたる。管理棟で登山届を提出したら、登山スタート。うれしいことに、管理棟前には有料で借りられるトレッキングポールが用意されている。高低差がある山なので、登りでも下りでもポールがあると心強いだろう。
公園のレジャー施設を抜けると2.5合目に登山口の標識があり、その先から登山道らしい風景に変わっていく。ここから山頂までは1本道。らせん状のコースを登ってピークを目指すようになっている。最初は北から南に横断するように山の斜面を登り、それからぐるりと反対側に回り込んで山頂に至るという行程だ。
■癒しの展望スポットが点在
歩きはじめて1時間ほどで5合目の展望台に到着する。海のすぐそばとあって展望は開放的だ。コース途中にはこうしたビュースポットが点在し、長く横たわる大隅半島や、本土最南端の岬となる佐多岬を見ることができる。山頂までの道のりは大半が樹林帯だが、その分、展望が見えたときの感動が大きい。
7.1合目付近には種子島や屋久島が見えるという看板があり、訪れた日は海がかすんで遠くまで望み見ることは叶わなかった。遠望がきく空気が澄んだ日なら見られるチャンスがありそうだ。
■ハシゴやロープの道を越えて、開聞岳に登頂
8合目を過ぎると岩場が増えはじめ、ロープが設置された場所が現われるので、これらのポイントを慎重にやり過ごす。9合目にはハシゴで大きな段差を登る場所があり、これを越えたらもうひと踏ん張りで山頂だ。
山頂の少し手前で赤い鳥居が見えたので、そちらに向かうと、山麓に鎮座する枚聞神社(ひらききじんじゃ)の奥宮が祀られていた。手を合わせて、それから山頂に向かうルートに戻る。すぐに空が広がる空間が見え、森を抜けると大展望のピークに飛び出した。
開聞岳の山頂は、低木の中心に大きな岩が転がり、360度で景色を見渡せる開放的な空間。霧島連山や錦江湾に浮かぶ桜島、広大な池田湖などの展望がパノラマで見渡せる。平坦な場所を探して各々休憩をとり、景色をたっぷり堪能してから来た道を戻って山を下山する。
登山口から山頂までの道のりは4,668mあるという。勾配が続いて登りごたえがあり、登頂すると大展望のご褒美が待っていて、達成感も喜びもひとしおだ。
<開聞岳 おすすめルート>
かいもん山麓ふれあい公園→開聞岳→かいもん山麓ふれあい公園
(所要時間:約6時間)
■観光地に泊まって、2座をはしご
大浪池や韓国岳の登山口がある霧島市、そして開聞岳がそびえる指宿市は、どちらも温泉地が点在し、その周辺には観光地も広がっている。温泉完備の宿泊施設も多く、滞在して心と体を癒しながら、鹿児島県が誇る2つの日本百名山を踏破することが可能だ。そんな充実の鹿児島県“アウトドアはしご旅”にぜひ挑戦してみよう。
[PR]