屋久島には、九州最高峰で登りごたえ抜群の「宮之浦岳(標高1,936m)」と、山頂の大岩からの眺望が魅力の「モッチョム岳(標高940m)」がある。

 日本百名山でもある宮之浦岳は屋久島でも人気のある山で、モッチョム岳は登山者こそ少ないものの、景色が抜群でロープを使って登るポイントもある。

 屋久島でおすすめする、タイプの異なる魅力的な2つの山を紹介する。

■九州最高峰「宮之浦岳」

登山者が多い人気の安房(あんぼう)歩道ルートの登山口(撮影:金子美也子)

 宮之浦岳は、屋久島のほぼ中央に位置し、花や岩、湿原といった様々な景色を楽しむことができる山である。

 宮之浦岳には、避難小屋に泊まって縄文杉と宮之浦岳を1泊2日で縦走するルートもあるが、今回は山頂まで最短で行くことができる定番のルートを歩く。

 淀川(よどごう)登山口からのルートは、屋久杉や高層湿原である花之江河(はなのえごう)といった見どころも多いことから、最も人気のあるルートである。淀川登山口は、バスなどの公共交通機関でアクセスができないため、レンタカーかタクシーを手配する必要がある。

奇岩を眺めながら岩の上で休憩(撮影:金子美也子)

 登山道は整備されていて危険箇所もないため歩きやすく、眺めの良い休憩ポイントも点在しているので、体力があれば楽しんで登ることができる。

 休憩ポイントの中でも、高層湿原である花之江河は、山の中であることを忘れてしまいそうな幻想的な光景である。

 徐々に視界が開け、登山口から約4時間30分で屋久島の山々に囲まれた宮之浦岳の山頂へ到着する。

九州最高地点である宮之浦岳山頂(撮影:金子美也子)
山頂からの幻想的な景色(撮影:金子美也子)

 宮之浦岳は屋久島のほぼ中央にあり、麓からはその姿が見えないので、登った人しかその姿を見ることができない最奥の山である。

 九州最高峰の山頂から臨む360度のパノラマは、屋久島の奥地にいることを体感できる雄大な景色である。

山頂で食べるお弁当は格別である(撮影:金子美也子)
登山道からは高山植物も見ることができる(撮影:金子美也子)

 下りも約4時間かかる行程なので、足元を確認しつつ注意しながら足を運ぼう。

 悪天候でない限り、登山道は分かりやすいので道に迷うことはないだろう。ガスで視界が悪いときは、地図で確認しながらより慎重に進むように心がけたい。

ヤクシカが顔を出すことも!(撮影:金子美也子)

■宮之浦岳登山での注意点

 長時間の行程なので、日没の時間に注意して遅くとも7時までには登山口から出発できるように行動しよう。

 屋久島は年間降水量日本一であり、麓は晴れていても山頂付近が雨のことも珍しくない。ザックカバーの準備や、濡れないよう着替えやタオルはジップロックに入れておくなど、雨対策は入念にしておこう。

 トイレは淀川登山口と淀川小屋の2か所のみの設置だが、携帯トイレブースがあるので、携帯トイレも忘れずに持ち物リストに入れておこう。

 

【登山ルート】
淀川登山口→(50分)→淀川小屋トイレ→(90分)→花之江河→(120分)→宮之浦岳→ (120分)→花之江河→(70分)→淀川小屋トイレ→(40分)→淀川登山口

【宮之浦岳】
場所:鹿児島県熊毛郡屋久島町中間
標高:1,936m
歩行距離:約14km
歩行時間:8~9時間
標高差:571m

●【MAP】淀川登山口