■高山植物の群生地「岩手山山頂」と熱い湯気が地面から出る「お鉢」

山頂のカルデラ内に盛り上がっている妙高岳
八合目から先は、岩混じりのザレた登山道

 八合目避難小屋から先、登山道はザレた岩混じりの土に変わる。山頂周辺は高山植物の群生地帯で、登山道脇にはコマクサの蕾が群生。開花にはまだ早く、一部のみが咲いていた。このコマクサが一斉に咲き出したら圧巻の景色であろう。一面がピンク色のコマクサ群生地帯に変わるのを想像しながら、岩手山の最高地点を目指す。

高山植物の女王、コマクサ
標高2,038mの岩手山最高地点

 岩手山の山頂はカルデラ地形となっており、お鉢の周りをぐるっと一周できる。お鉢の中に、小型の火山「妙高岳」が盛り上がり、まるで丸い器に盛られた崩れたプリンのようだ。

 360度のパノラマを持つ、最高地点には祠があり鉄製の剣が奉納されており、遠くには雪を被った鳥海山(ちょうかいさん)の姿も見える。

 お鉢めぐりの途中からお鉢の中のルートに入ってみることに。よく見ると、ところどころ地面に穴が開いており、こぶし大の大きさの穴から熱気が出ている。

お鉢の中の登山道脇にある穴から熱気がもれる、穴の大きさは握り拳くらい

 ふと、この山が活火山だったことを思い出す。おそらくこの熱気は、筆者が登ってきた登山口よりももっと深いところから出ているのだろう。そう考えると、岩手山が生きている山だと感じずにはいられない。
お鉢の内部から空を見上げると、お鉢の周りを歩く登山者の姿が小さく見える。

青空を背景にお鉢の周りをぐるっと一周、登山者が歩いている

■下山は7合目分岐より樹林帯の中を歩く新道へ

樹林帯を切り開いた新道ルート

 下山は、7合目分岐より新道方面へ向かう。眺望はほとんどなく登山道は急だが、高度感は感じない。

 今回の柳沢コース、休憩を含めると行動時間は往復9時間近くとなった。体力があれば日帰りも可能だが、避難小屋に1泊するのもおすすめ。

 避難小屋の管理人は、次はぜひ小屋泊で来て欲しいと言う。お鉢から見えるご来光が最高に美しいそうだ。

 

【柳沢コース】
所要時間:8時間
馬返し登山口→3:30→7合目→0:15→八合目避難小屋→0:15→不動平→0:40→(お鉢巡りは時計回り)最高点→0:30→不動平→0:15→八合目避難小屋→0:05→7合目→2:30→馬返し登山口

●【MAP】岩手山

※この記事の情報は2024年8月現在のものです。内容が変更される場合もありますので、最新の情報はリンク先のHPでご確認ください。