■最後のピーク、富良野岳へ

富良野岳は日帰り登山で賑わう人気の山。花の百名山でもある

 最終日、6日目はゆっくり行動しても半日の行程。食料や燃料も減り、荷物はかなり軽くなっている。最後の稜線を歩き、分岐に荷物をデポして富良野岳山頂へ。遠くに霞む旭岳を眺めながら、長い70kmに及ぶ縦走の道のりを振り返る時間は十分にあった。

 上ホロ避難小屋の水場は例年8月中旬まではもつが、9月には枯れている。ここに限らず、この縦走の大きな注意点は水の確保にある。ほぼ確実に水場で水が確保できるのは7月まで。8月からは水場情報を気にしながら予定を立てなければならない。

 また、天候判断も非常に重要だ。都合の良い好天が6日間も続くことは、そうあるものではない。悪天候時の停滞を考えた予備の食料や燃料は十分に持たなければならない。食料が尽きたからと言ってすぐに下山できるエスケープルートは序盤と最後以外、ほとんどないからだ。今回の筆者の縦走も、当初は4泊5日の予定だったが、途中から5泊6日に計画を変更している。

 体力や知識だけではなく、準備や臨機応変の対応など、登山における様々な対応ができる上級者のための縦走路だ。それが大雪・十勝全山縦走。いつの日か、この縦走路を歩く。そんな目標を持つのもいいだろう。すでに準備が整っている上級者ならば、ぜひこの縦走を考えてほしい。きっと期待を裏切らないはずだ。