■2日目は高根ヶ原を越えてヒサゴ沼へ

旭岳、白雲岳を背に高根ヶ原を進む登山者たち

 2日目は高根ヶ原を越えて、忠別岳、五色岳経由でヒサゴ沼まで。高根ヶ原はお花の時期であれば大雪山系らしいお花畑が続く、アップダウンの少ない高原の道だ。だだっ広い大雪山を体感できる、果てしなく続く道だ。

 忠別岳(1,963m)から一旦下り、五色岳(1,868m)へ登る。時間に余裕があればちょっと寄り道して化雲岳に寄って行くのも良い。2日目の宿泊地はヒサゴ沼となる。ここには避難小屋とキャンプ指定地がある。また、大雪山系でトイレがあるのはここまでだ。以降はしばらく携帯トイレの出番となる。ヒサゴ沼は大きな雪渓があるので、水場の心配は少ない。万一、水が途切れた場合も、沼の水を煮沸すれば問題ないだろう。

 なお、ヒサゴ沼は携帯電話の電波が届かない。大雪山系において稜線上や山頂などで一部つながる場所もあるが、機種やキャリアによってかなり差がある。筆者の感覚では、ドコモは場所によりつながるが、auは微妙な場所が多い。ソフトバンク、楽天はほとんどつながらないと思った方がよい。

■トムラウシ山を越え、大自然の核心部へ

ヒサゴ沼からの登り。例年7月は雪渓を登るが今年は雪が少なかった

 3日目の行程はちょっと難しい。というのも宿泊予定地により、行動時間が大きく変わってくるからだ。国立公園故に、宿泊地は限定されてしまう。大雪山系にはいくつか野営指定地があるが、お世辞にも多いとは言えない。ヒサゴ沼を越えると次は南沼だが、それでは少し近すぎる。その先は双子池野営指定地なのだが、今度は遠い。

 まずは双子池を目指して早朝に出発。例年残っている大きな雪渓も、今年は大分小さくほとんど登山道で登ることができた。この辺りは(ピンポイントだが)早朝などは凍り付いた雪渓になるので、軽アイゼンなどは必ず装備しておいた方が良い。

 雪渓を登り、稜線に出ると日本庭園、ロックガーデン、北沼と大雪山系縦走の見所が続く。北沼からトムラウシ山頂上はすぐの距離だが、視界不良と風も強めだったので山頂へ登らず北沼のほとりを通って南沼野営指定地へ。ここから三川台に向って登山道は笹かぶりが増えてくるが、雄大な景色とどこまでも続くお花畑は大雪山系随一と言っても過言ではないだろう。

 三川台まで予定通り順調に進んでいたが、天気が微妙な予報となっていた。ここから双子池までは笹刈が行われて歩けるようになったとは言え、歩行困難であることに変わりは無い。天候判断から予定の双子池野営指定地まで進むことは諦め、途中でビバークすることにした。三川台から双子池までの区間には野営指定地はないが、ビバーク適地となるスペースは何か所もある。ビバーク準備が整ってテントに入ると、案の定、強い雨が降り出した。自然の中で無理は禁物だ。