■今回の核心部は、大雪と十勝の接合部

這松、笹かぶりだけではなく、登山道もこの状態

 大雪・十勝全山縦走において、距離的にはトムラウシ山が中間地点だが、歩きやすいトムラウシ山までの道のりを考えると実際の行程的には三分の一くらい。そして核心部は大雪山系と十勝連峰の接合部である4日目の行程だろう。

 コロナ禍中に行われた笹苅からすでに数年が経ち、笹かぶりは徐々に復活している。大きなアップダウンはないが、腕を使って笹や枝をよけながら進むのは、体力的にも精神的にも消耗が激しくなる、厳しい区間だ。

 想定より時間がかかったものの、お昼前には双子池野営指定地に到着した。天気は良く、時間的にも次の美瑛富士野営指定地まで行けそうだったが、ここまでの疲労度合いと回復を考慮して双子池野営指定地で早めの幕営。のんびりと自然の中でくつろぎタイムを満喫できた。長いこの縦走、歩きっぱなしではなく、陽気の中で過ごすこんな時間はとても贅沢なひとときだ。

■後半戦、山の雰囲気もがらりと変わる十勝連峰へ

美瑛岳から十勝連峰最高峰の十勝岳を望む

 5日目はオプタテシケ山(2,012m)への標高差500mの急登から始まる。切り立った尾根の先にある山頂に立つと、そこから連なった十勝連峰の山々が見えてくる。大雪山系とは違った山並み、景色が広がっていた。

 この日は美瑛富士野営指定地ではなく、上ホロ避難小屋を目指す。縦走も後半となり、疲労がたまってくるところだ。オプタテシケ山ほど長く急ではないのに、美瑛岳の登りでペースが落ちる。さらに先は十勝岳(2,077m)までの砂礫のような登山道も疲れた身体にはキツい。やがて十勝岳の頂きに立てば、目指す上ホロ避難小屋が見えてくる。最後のピーク、富良野岳(1,912m)もそびえている。