■翌日は岳沢を登る!

明神池から梓川左岸ルートを下ると、岳沢に向かう分岐に着く

 快適な一夜を過ごし、翌朝はすっきりした気分で山小屋を後にする。このまま河童橋まで戻れば、ほぼ平坦な道を往復するだけの旅で締めくくれるが、「少しは山に登った気分を味わいたい」ということで、今回は岳沢を登るプランを組んでいる。明神まで来た道を戻り、また橋を渡って穂高神社や明神池がある方に向かい、今度は対岸のルートを通って川を下ると岳沢に向かう登山口がある。

ときおり木漏れ日が注ぐ常緑針葉樹の森を登っていく

 ほぼ日の光にあたらず森の中を登っていくので、夏でも爽快。途中には、冷やされた空気が岩の間から噴き出る「風穴」があり、天然クーラーでクールダウンもできる。西穂高岳の山並みや、河童橋などの上高地を一望できる展望地など、適度に休憩をはさみながらゆっくり登れる。

途中に岩からひんやりした風が流れる「風穴」で小休憩
ガレ場が広がる場所は視界が開け、西穂高岳の峰が近くに見える
山麓に見える梓川の流れと河童橋界隈。ずいぶん登ってきたことが分かる

■岳沢小屋で展望を堪能

山小屋の向こうに穂高連峰の峰がパノラマで連なっている

 傾斜が少しきつくなり、そこをもうひとふんばりして登るりきると「岳沢小屋」に到着。この山小屋は穂高連峰に向かう途中にたち、山並みがパノラマに広がるダイナミックな景観と、眼下に広がる上高地を眺めることができる。山のピークを目指さずとも絶景を満喫できる絶好の場所なのだ。

ブラックキーマカレーや蟹のトマトクリームの生パスタなど、メニューのクオリティが高い
岳沢小屋の標高は2,170m。併設のテラスから景色を楽しみながら食事を楽しめる

 この日のランチはこの山小屋のメニューを満喫。カレーの種類が多く、ビーフやチキン、ビーガン用、オリジナル商品のブラックキーマカレーなどがある。パスタもいろいろなメニューが選べ、生パスタを使ったものまである。

穂高連峰と上高地を一望できる「岳沢小屋」

■岳沢湿原を小屋で展望を堪能

幻想的な風景が広がる岳沢湿原。季節ごとにさまざまな花の姿を見ることができる

 岳沢小屋でお腹を満たしたら、登ってきた道を下って梓川右岸ルートまで戻る。下り切ったところがちょうど岳沢湿原のある場所で、ところどころにあるビュースポットに足を止めながら河童橋へと戻っていく。原生林を中に広がるこの湿原は、水の透明度が高くあちこちにち立ち枯れの木々などもあり、神秘的な雰囲気を作り上げている。マガモの姿も見られるのどかな場所だ。

 観光客が多く集まる大正池や河童橋に比べて、このあたりは比較的に人が少なく喧騒のない自然をゆっくり味えるのが格別だ。上高地にはこうした魅力的なスポットがほかにも数多く点在している。ゆとりをもって滞在すれば、見逃しがちな場所をあちこち時間をかけてめぐれるので、やっぱり上高地は泊まりの旅がいい。

※2024年7月1日の大雨による影響で上高地の梓川左岸ルートの一部に通行不可の箇所があります。お出かけの際は最新情報をご確認ください。

 

<おすすめルート>
【1日目】
上高地バスターミナル→河童橋→明神館→明神池(穂高神社)→徳沢ロッジ(泊)
【2日目】
徳沢ロッジ→明神池→岳沢小屋→岳沢湿原→河童橋→上高地バスターミナル
(所要時間:1日目 2時間20分、2日目 6時間30分)