北アルプスを背景に清らかな梓川が流れ、その川岸に沿って開かれた山岳リゾートが上高地。季節ごとに魅力があるが、とりわけ夏は新緑と色とりどりの高山植物が咲き誇り、自然の躍動感がみなぎる。上高地といえば、河童橋や大正池が有名だが、ほかにもたくさん見どころがある。それらをあちこち歩いて回るなら、やはり泊まりの旅がいい。そこで今回は、明神・徳沢をめぐる「上高地さんぽ」と、岳沢からの展望を求めて「ちょっとだけ登山」を楽しむ、1泊2日の旅を体験してきた。
■まずは上高地バスターミナルから河童橋へ
上高地の玄関口となるのが「上高地バスターミナル」。まずここから、上高地のシンボルである「河童橋」を目指す。山から流れてくる梓川に吊り橋が架かり、その向こうに穂高連峰や岳沢が広がる風景は、「これぞ上高地!」という眺め。橋の周囲は、川の両岸にレストランやカフェ、おみやげ店が並び、たくさんの観光客で賑わっている。気になるお店が多いが、今回は目当てのランチがあるので、後ろ髪を引かれながらルートを進む。
■明神でじっくり観光
河童橋から小梨平を抜けると登山客の往来が多い。山まで登らずに川沿いをめぐる観光客らしき人たちも、トレッキングシューズやバックパックという出で立ちで装備が万全だ。ほとんどが森を抜けるルートで、日差しの強さを感じず、吹き抜ける風が爽やかだ。
1時間ほどで休憩ポイントの明神に着く。ここは「明神館」という山小屋があり、売店や食堂などもある。屋外にはベンチやテーブルが用意されており、ひと息つくのにちょうどいい場所だ。
明神は、鋭い岩峰が特徴の明神岳が間近にそびえるロケーション。「明神館」の前には穂高奥宮と書かれた木碑が建ち、その奥に向かうと明神池や穂高神社に行くことができる。歩いて10分ほどの距離だ。
梓川に架かる橋を渡り、左に折れて少し進むとすぐに穂高神社の鳥居が見えてくる。上高地を取り巻く穂高連峰は、古くより穂高大神が降臨された地と伝わり、神が降りた土地だから「神降地」と、上高地の名の由来になったという説がある。
穂高神社奥宮を参拝し、神社のさらに奥にある明神池のほとりまで出て明神岳をより近くに感じながら参拝。池の水は透き通り、まさに神域という雰囲気だ。一の池と二の池があり、木道を通って散策できる。
■ランチは囲炉裏で焼いたイワナをいただき!
明神池の散策後は、お楽しみのランチ。目当ては「嘉門次小屋」で食べられる囲炉裏でじっくり焼きあげたイワナの塩焼きだ。上高地に来たら食べておきたいグルメのひとつで、足を延ばしたからこそ味わえる特別感もあって気分があがる。イワナの塩焼きは単品や、ごはや味噌汁などがセットになった定食を注文できる。