5月とは思えないほど暑い日があったり、上着を羽織りたくなるほど寒い日もあったりと天気に留意する日々が続いている。山はどんな気候なのか、暑ければ水分を多めに持つ必要があるし、寒ければ防寒着を十分に持つ必要があり、なかなかパッキングに悩まされている。今回は、まだ雪が多く残っているであろう北アルプスの最奥部の「黒部五郎岳」を目指すことに決めた。

 黒部五郎岳は立山連峰に位置し、標高は2,839m。どこの登山口からも遠く、2泊から3泊の行程で訪れる人が多い山である。私には未踏の地であり、全てが初めてのルートである。

■かなりしんどい飛越新道

寺地山に登るとこれから向かう北ノ俣岳が見えるが遠い……

 アクセスしにくい山だから静かな山歩きが楽しめるとういうのも魅力の一つだと思う。私が選んだルートは、飛越新道〜北ノ俣岳〜黒部五郎岳のピストンのルート。おすすめによく出てくるルートは、折立から黒部五郎岳、西鎌尾根を経て槍ヶ岳へと縦走する、西銀座ダイヤモンドコースではないだろうか。いつかは歩いてみたい。

 飛越トンネルの登山口をスタートするとしばらく樹林帯が続き、寺地山へ向かう。そこまではなだらかな登山道という印象であった、基本ぬかるんでいることが多いようだが、登りは雪道が多く思ったほど気にならなかった。しかし、下山では雪が溶けて沢や沼のようになりとても歩きにくく、ゲイターがあって良かったと思った。一日でだいぶ様子が変わっていたことに驚いた。

■素晴らしい眺望の北ノ俣岳

避難小屋からは雪はなく木道歩きとなる。池塘が癒し

 避難小屋の水場で水をたっぷり汲むとさらに荷物が重くなった。ここから木道を歩くのだが、積み木のような木道がまた歩きにくいのである。そして見えている北ノ俣岳が着きそうで着かないことがもどかしい気持ちにもなるので「ご覚悟を!」。

北ノ俣岳から望む雄大な黒部五郎岳

 私は避難小屋から3時間かかってようやく稜線に上がることができた。そこではそれまでの凄まじい疲れが全て吹き飛んでしまうほどの絶景が待っていた。「なんて現金な人間なんだ」と思ったものだ。でも共感する人がたくさんいるであろう。テントを北ノ俣岳山頂に張り、ここで素晴らしい夕日を見て1日を終えた。