長野県北部では遅い桜も散りはじめ、里山は芽吹きの季節。麓は新緑の季節になりつつあるが、標高の高い山には雪が残り、その姿を見ようとまだまだ雪景色を求めて登っている。4月半ばより林道の通行が解除され、山々へのアクセスがしやすくなる。いわゆる開山だ。山小屋も再開されはじめ、賑わう季節へと移り変わる。

 今年、林道開通後に選んだ山は、4月19日に三俣登山口への林道が解除された蝶ヶ岳。蝶ヶ岳には4度登っているが、残雪期は初めてであり、雪景色が楽しみである。

■ゲートが開くのを待っていた!

まめうち平から雪道となる

 久しぶりの林道の運転も「こんなに大変だったかな」と思いながら暗闇の中、カーブの連続に注意して進む。林道を歩いていた厳しい冬が終わったのだなと寂しい反面、道路が使えることに感謝の気持ちが湧いてくる。

 駐車場に着くと登山者が何組もおり、私の後にも続々とやってくる。ゲートが開くのを同じように待っていた登山者がたくさんいるのだと感じた。そして、車から降りても寒くないのが不思議な感覚である。山頂は寒いと思うと、行動着が悩ましい時期でもある。

■初めての蝶沢

集中して蝶沢を登っていく

 登山口に雪は無く、スリーシーズンの靴に足取りも軽やかに進んでいく。2年ぶりに会うゴジラ君(登山道にある枯木のゴジラみたいな木)も元気そうだ。標高1,800m地点から少しずつ雪が出てくる。まめうち平からは完全な雪道となる。朝方は気温も低く雪もしまっているが、時々踏み抜くこともある。

バックには常念岳! 登るのも楽しい

 蝶沢の手前で、装備を12本アイゼンピッケルに変える。蝶沢をトラバースしていくと夏道もあるが、雪が締まっている今の時期は蝶沢を直登していくこともできる。高所恐怖症の私は直登している間はいつも後ろを振り向けない弱点があるが、反対側には青空と常念岳が聳える。ゆっくり慎重に登っていき、直登を終えるとあともう一息で山頂だ。