■地図読みの基本<座学編>

 地図読み講習は、地図の基本を学ぶ「座学」からスタート。講習を受けるのは、北海道様似(さまに)町にあるアポイ岳。

 地図の入手方法や縮尺、地図読みで重要な尾根と沢の判別など筆者のような初心者でも理解できるよう、丁寧な講習会となった。地図読みのキーワードは、「尾根」「沢」「等高線」「トラバース」だ。

●地図読み前に押さえるべきポイント

 まずは縮尺2万5000分の1スケールの地形図を準備しよう。大型書店やネット販売などで地形図の原本を購入するのが理想だが、インターネットから地形図を印刷することも可能だ。ヤマタロウさんのおすすめは、「Map25000」。シンプルな操作で、2万5000分の1地形図が印刷できる。

参考:https://map25000.com/

 また、WEB上で山の地形を確認したい場合は、国土地理院のGSI Mapsが操作性がよく使いやすい。ただし、縮尺設定ができないため印刷して利用するには不向きであることを覚えておこう。

参考:https://maps.gsi.go.jp

 地形図を利用する際のポイントは下記の通り。

・2万5000分の1スケールの地形図を準備
・縮尺は「4cm=1km」(2万5000分の1スケールの場合)
・等高線の間隔は10mおき(2万5000分の1スケールの場合)

 等高線は、線と線の間が狭いと急斜面、間隔が広いとなだらかな斜面であることを示している。

大抵の地形図には欄外に縮尺とスケールがあるが、ない場合はメモしておこう

 また、余裕があれば5万分の1スケールの地形図があると便利。2万5000分の1の地形図よりも広範囲をカバーできるため、山の名前や全体の地形がわかりやすい。

●尾根と沢を見分けよう

 続いて、基本中の基本である「尾根」と「沢」の判別。アポイ岳のビジターセンター前のベンチで地形図を広げ、色鉛筆で尾根と沢を分ける作業を行った。

 尾根と沢を判別する際の基本とコツは下記の通り。

 【尾根】
「標高が高いところから低いところに向けて、等高線が出っ張っているところに線を引く」のが基本。周囲に記載されている標高を意識すると間違えにくい。

 【沢】
「等高線が低いところから高いところに向けて、出っ張っているところに線を繋ぐ」ことで判別。地形図に描かれている大きな川を起点として、上流に遡って線を引くのがコツ。

地形図をよく見て、尾根と沢を色分けしていく(撮影:佐野春佳)

 主要な尾根と沢を地形図に書き込む。アポイ岳は山頂から東西南北に尾根が延びており、非常にわかりやすい地形だ。実際に手を動かして作業すると、尾根と尾根の間に沢がある様子がよくわかる。

尾根と沢を色分けした地形図(尾根:赤色、沢:青色)。本来はもっと多くの尾根と沢がある