5月に入ると、地域によって日中は半袖でも過ごせるような日が増えてくる。ポカポカとした陽気で、運動するには快適な季節だ。
だが、登山においては勝手が少し違ってくる。今回は、春〜初夏の登山で気をつけるべきことを筆者の失敗談とともに紹介したい。
■想定外の暑さ!「ウェア選び」は慎重に!
春の山は朝晩の冷え込みが厳しいものの、日中には気温が上昇し、暑くなることもある。暑くなる前にウェアを脱ぎ、体温調節をする必要があるほかにも、オーバーペースにも注意したい。
5月の山梨県「乾徳山(けんとくさん・標高 2,031m)」に出かけた時のこと。山頂付近の気温が低いことを予測した筆者は、寒さ対策として保温性の高いウエアを着ていた。しかし想像以上の暑さに対応できず、山頂に着いた時には滝のような汗をかいてしまった。
5月はまだ寒いだろうと思っていたが、移動中の気温は20℃を超えていた。ウェアとパンツの脱ぎ着のタイミングやバランスがうまくできず、体温調節に失敗した。ウェア選びは気温などを考慮して慎重に選びたい。
■想定外の紫外線の強さ「日焼け対策」を万全に
4月、5月の紫外線の強さは真夏にも匹敵すると言われている。紫外線対策を怠ると、日焼けによるダメージを受けるので必ず対策をしておきたい。
春〜初夏は、登山の出発時間帯である朝の気温はまだ低いため、保温性のあるウェアを着ているが、日中、気温が高くなってくると体温調整で脱ぐことが多い。出発前には日焼け止めを確認しておいた筆者だったが、暑さ対策でウェアを脱いだ時に日焼け止めを塗るのを忘れ、真っ赤になるまで日焼けしてしまったことがある。
日焼け止めは汗をかくと流れやすいので、一度ではなく、こまめに塗ることが重要だ。また、強い紫外線は目にも影響を及ぼすので、日焼け止めと合わせてサングラスの着用も心がけたい。
■想定外に寒い! 必ず行動着「プラス1枚」を携帯しよう
平地では半袖で過ごせるようになっていても、山では環境が全く違うことを忘れないでほしい。登山口に到着した際、思っていたよりも気温が高いと感じた筆者は、持参したダウンウェアを車に残して出発したが、晴れた山頂付近の気温は低く、さらに強風だったこともあり、景色は素晴らしくよかったものの寒さに耐えることができず、ほんのわずかな滞在時間で下山したことがある。
山頂付近の気温を想定し、行動着にプラス1着、防寒ウエアの携帯を忘れないようにしたい。
■想定外の「雪・滑り止め」の携帯を忘れずに
首都圏に近い低山であっても冬には雪が積もることがある。ガイドブックに掲載されている残雪期が終わっていても油断は禁物だ。
4月だからさすがに雪は残っていないだろうと考えた筆者は、滑り止めを携帯せずに山梨県の「竜ヶ岳(りゅうがたけ・標高1,485m)に出かけた。しかし、実際には朝晩の冷え込みで凍結箇所があったり、北側の斜面には雪が残っていたため、登山口からいくらも進んでいない場所だったが撤退を決断したことがある。
春の山は残雪の状況の見極めが難しい。準備を入念にしてから出かけたい。装備に軽アイゼンやチェーンスパイクなどの滑り止めを忘れないようにしてほしい。