長い冬眠から覚め、東北地方にも春がやってきた。まだ冬の景色が残る春の十和田湖は空気が澄み切っていて遠くの山に冠雪が輝いている。この季節にしか味わえない景色を眺めながらの散策は心地よい。静寂に包まれた十和田湖の岸辺。膨らみつつある樹木のつぼみはまだ固く閉じられてはいるが、春の息吹が微かに感じられ、「十和田湖ブルー」に輝く湖面は幻想的だ。この美しい風景は、来訪者にまるで夢から覚めたかのような感覚を与える。本稿では、そんな初春の十和田湖を紹介する。
■十和田湖について
十和田湖は青森県と秋田県の県境に位置し、湖の東半分が青森県で西半分が秋田県に属する。深さは日本で3番目のカルデラ湖。水の透明度は日本屈指である。また、奥入瀬渓流の源であることでも知られている。
国立公園に指定されており、自然の造形美を求めて国内外から多くの観光客が訪れる人気スポットだ。筆者が初春の十和田湖を訪れたのは数年前の4月中旬。この年は雪化粧の山々と、真っ青な十和田湖が澄み切った空気の中で輝き本当に美しかった。
■パノラマ絶景を楽しめる、周辺のおすすめスポット
●十和田湖の全景を眺められる「発荷峠」
まずは秋田県側にある発荷峠(はっかとうげ)第一展望休憩所に立ち寄り、美しい十和田湖の全景を眺めよう。発荷峠第一展望休憩所までは車がおすすめだ。眼下に十和田湖ブルーとして知られる真っ青な十和田湖、その先にまだ雪の帽子をかぶった八甲田の山々が望めて、まさに絶景。
湖に突き出す中山半島と、その裏に見える御倉半島(おぐらはんとう)がくっきり見え、そして2つの半島に挟まれた中湖(なかのうみ)も少しだけ見える。ここは十和田湖にあるいくつかの展望台の中でも一押しの場所だ。
【基本情報】
施設名:発荷峠第一展望休憩所
住所:秋田県鹿角郡小坂町十和田湖休平64-1
駐車場:発荷峠第一展望休憩所駐車場(無料、トイレあり)
交通アクセス:東北縦貫自動車道小坂ICから車で約30分
●【MAP】発荷峠第一展望休憩所
●木漏れ日が神秘的なパワースポット「十和田神社」
次に、十和田神社周辺を散策してみよう。観光船の発着所にもなっている「休屋(やすみや)」地区に車で移動し(発荷峠第一展望休憩所から約15分)、神社に最も近い「休屋駐車場」を利用。駐車場はこのほかに「休屋北駐車場」「休屋南駐車場」があり、計640台の駐車スペースがあるので安心だ。
【基本情報】
施設:十和田神社
住所:青森県十和田市奥瀬十和田湖畔休屋486
駐車場:十和田湖休屋駐車場(500円)
●【MAP】十和田湖休屋駐車場
駐車場から土産物店やレストランが並ぶエリアを北に進み、十和田神社の鳥居を目指す。樹木に囲まれた森の中、歴史を感じる立派な杉並木の参道をまっすぐ進む。木漏れ日(こもれび)が美しく、神社の神秘度を高めているようだ。
ゆっくり5分程度歩くと2つ目の鳥居があり、右手の少し高くなった場所に本殿が構える。
本殿で旅の安全を祈願する。パワースポットとして知られる十和田神社周辺は神秘的なエネルギーに満ちている。
●湖のシンボル的存在「乙女の像」
十和田神社本殿参拝後は、神社の裏手にある「乙女(おとめ)の像」に行ってみよう。参道に戻り、遊歩道を北西に2~3分進むと湖畔と乙女の像が見えてくる。乙女の像は彫刻家・高村光太郎の代表作で、十和田湖のシンボル的存在となっている。
湖畔から見る景色はこの時期ならではの絶景で、息をのむような美しさだ。
●遊歩道をあるき「恵比寿大黒島」へ
乙女の像周辺を堪能したら、今度は駐車場方向に引き返す。といっても神社方向ではなく、湖畔にある遊歩道に沿って南へ歩いていこう。
2~3分歩くと、岸からすぐ近くに「恵比寿大黒島(えびすだいこくじま)」という美しい小島がある。十和田湖ブルーの湖面と雪冠の山々を背景にした小島が湖に浮かぶ様はこの時期しか見られない絶景で、しかもパワーにあふれている。
■訪れる際の注意事項
道路はスリップする可能性があるので、スタッドレスタイヤは必須だ。また、残雪や雪解けの泥道を歩く可能性があるので、靴はトレッキングシューズか防水機能を備えたものがおすすめ。春とはいえ風が冷たいこともあるので、防寒対策も忘れずに!
■透明度の高い「春の十和田湖」に行ってみよう
最初に展望台から十和田湖の全景を楽しみ、次に十和田神社周辺を歩いて、この季節にしか味わえない透明度の高い湖と周辺の景色を堪能する。何と贅沢な時間であろうか。そんな初春の十和田湖をぜひ訪れてみてほしい。