■将軍塚道を登り、東山山頂を目指す
圓山稲荷の横を通り過ぎてしばらくすると「将軍塚道」と記された石碑を見つけた。この道を登っていき、東山山頂を目指す。
途中、急な階段を上りきるとパッと道が開けてお堂が現れた。「圓山聖天堂(えんやましょうてんどう)」といい、大聖歓喜天を祀っているそうだ。
筆者が訪れたのは3月上旬で寒さも厳しかったが、早咲きの桜が可愛らしく咲いていた。こういった四季折々の移り変わりを感じられるのもハイキングの醍醐味である。
ここからは完全に山道に。何度か分岐点があるが、案内が立てられているので迷うことなく進める。「東山山頂公園」と書かれた方向を目指して登っていこう。
山道に人気は少ないが、時折「帰りのバスもタクシーもなくて……」と、将軍塚青龍殿を観光して降りてくる人たちとすれ違う。どうやら、登山道を通らない場合は帰りのタクシーを予約しておくのが安全らしい。
山道を歩いていると、お地蔵様の姿がちらほら。山の清々しい空気も相まって、緑に囲まれたお地蔵様の佇まいは神秘的だ。
■将軍塚青龍殿から京都市内を一望
八坂神社を出発してから、約30分。山道を抜けて大通りに出ると、右には東山山頂公園の展望所、左には将軍塚青龍殿の門が鎮座している。東山山頂公園でほっと一休みしてから、青龍殿へ向かうことにした。
青龍殿は平成26年に建てられたまだまだ新しい京都の新名所で、国宝青不動を祀る建物である。ちなみに「将軍塚」という地名は、桓武天皇が都を定める際に、将軍の像を埋めて都の安泰を祈ったというのが由来だそうだ。
建物や庭園ももちろんだが、なんといっても木造の「大舞台」が一押しポイント。
踏み入れた瞬間に思わず「おぉ……!」と感嘆の声が漏れてしまう。この大舞台の広さは、清水寺の舞台の4.6倍というから驚きだ。木造でここまで大きな展望台を見るのは初めてで、圧巻であった。
そして、京都市内を端から端まで見渡すことができる大パノラマ。さらに庭園に隣接した西展望台からは、京都市のみならず大阪近郊まで遠望できる。
庭園には約200本の桜が植えられており、春にはライトアップも行なわれている。桜と京都市内の展望を同時に眺めることができる数少ないスポットなので、この春ぜひ訪れてみてはいかがだろうか。