3月の首都圏近郊を起点にした登山は、なかなか目的地選びが難しい季節です。標高が高い山はまだまだ雪が多く、暖かさで雪が緩んで雪崩の危険もあります。標高が低い山に目を向けてみても、1,000mを切る山でもまだまだ新緑や花には早過ぎるタイミング。
では、なにを基準に目的地を選ぼうかと考えて、1つ思いついたのが展望の良さ。これは新緑が出始める前の見通しが良い季節だからこそ楽しめる要素ですよね。
そこで今回は首都圏から日帰り圏内で、3月に雪がなく手軽に歩けるうえに、展望が自慢の山「足利アルプス」を歩きに出かけてみました。
■特別な立地が、特別な展望の理由です
足利アルプスがある栃木県足利市は、関東平野の北端に位置すると同時に、日光連山の南端に位置しています。見渡す限りの広大な平野から山が隆起し始める起点にあるため、標高は低いけれど展望が抜群に良いという特徴があるのです。
また、冬の寒さは厳しいものの積雪は少なく、通年ハイキングが楽しめるので、平日でも登山者で賑わう人気の山域です。短いピストンやループ、長めの縦走など、好みに合わせたルート取り次第で歩き応えを調整できるのも人気の理由でしょう(登山口への公共交通機関は少なめなので事前の時刻表チェックは必須)。
■選んだのは手軽に歩けるループルート
今回、我々はエリアの南端に位置する織姫神社を起点に、両崖山(りょうがいさん・251m)、天狗山(259m)を踏んで3時間ほどで戻ってくる馬蹄形のルートを歩いてみました。
両崖山山頂まで約1時間で200m少々を上げるルートに急登はなく、地元のハイカーはお散歩がてら登りに来ている手軽なルートです。とはいえ、ルート上には少々岩場もあるので、足元を中心に登山装備で行くことをおすすめします。
明るい尾根を登り始めて30分もすると、眼下には足利の町、遠くには関東平野がババーン! とても気持ちの良い展望が広がります。
特に山頂の手前にあるウッドデッキは街を見下ろす絶景スポット。この日は、地元の方々がお昼ご飯を食べながら、おしゃべりに花を咲かせていました。我々も倣って、お隣の佐野市で買ってきた稲荷弁当を広げて参戦することに。あま〜いお揚げが、登りでこなれたお腹に染み渡ります。