■やりがちな間違い例と正しい対策

赤い炎はガスが不完全燃焼している証

 登山者やキャンパーの間で、まことしやかに言い伝えられている間違ったドロップダウン対策がいくつかあります。

 まず、一番やりがちなのがガス缶をシャカシャカと振ること。この方法は、バーナー本体に気化する前の液状のガスが送り込まれ、生火が発生するので非常に危険です。缶内部の冷えた部分と冷えていないガスが混ざるからか、たしかに火力が復活するように見えますが、たぶん手で持っていることによってガス缶が温められるからだと思われます。

 ガス缶を触って人肌でガス缶を温める方法は、危険性もなく、火力維持には効果的です。ただし、手はとても冷たくなります……。

土台が安定したところで行いましょう

 バーナー本体とガス缶を分離できるタイプのバーナーで、燃料を逆さまにするというやり方もよく目にしますが、これも同じ理由で液化ガスがバーナーに送り込まれて生火が発生するので危険です。

 LPガスは液体にすると、気体の約250分の1の体積になるという特徴があります。液状のままのガスが燃えるということは、通常の250倍のガスが一気に燃えるとイメージすると、その危険度がよくわかりますね。

 モデルによっては、ガス缶を逆さまにセットして液状ガスを使う前提で設計されたバーナーも存在します。通常のバーナーとは燃焼構造そのものが違うため、逆にこちらは缶を上向きにセットして気化ガスを送り込むと、ジェネレーターが高温で壊れてしまいます。

■お湯やカイロで温めるのも絶対NG!

登山者にはお馴染みの方法だが…

 もう1つよくやりがちな方法が、ガス缶にお湯をかけたり、お風呂のようにガス缶をお湯につけた状態で温めながら使う方法です。

 火力が安定して上がるので効果的に見えますが、ガス缶裏の説明書きをよく読むと書いてあるように、ガス缶は40℃を超える場所で保管すると破裂する危険があります。また、温め過ぎるとバーナーの設計時に想定されている以上に、ガスが勢いよく出てしまいます。

 つまり、40℃以上のお湯で温めてしまうとめちゃくちゃ危険! 同様の理由でカイロで温めたり、火の近くで使うのも危ないので避けましょう。

使用前に人肌で温めておくのは効果的

 ガス缶自体が適度に温まった状態で使うのは効果的なので、使用前にウェアの中に入れておいたり、就寝時に寝袋の中に入れておく方法はおすすめです。