物置にひと冬眠らせていた道具を引っ張り出し、山に向かいたくなる季節がやってきた。久々に道具を使おうとしているそこのあなた、出発前に道具の念入りなチェックをお忘れなく。
数ある道具の中でも、トレッキングブーツの不具合や故障は特に笑えない。保管している間にすっかり劣化してしまっていると、山中でソールが剥がれてしまうなんて最悪の事態も起きかねないからだ。
■3〜5年使ったブーツは綺麗に見えても買い替え時
本格的なブーツは値段もそこそこ張るし、使い込むほどに愛着も湧くので、買い替えをためらいがちな道具ではある。では、何を目安に買い替えれば良いのか。
チェックしたいポイントは2つある。まず、1つめのポイントは使用年数だ。使用頻度に関わらず、年数が経つとブーツのラバーパーツが固くなったり、アウトソールの接着剤が劣化してしまう。この劣化速度は使用頻度や保管状態によっても左右されるが、だいたい3年〜長くても5年くらいを目安に買い換える(もしくはソールを交換する)べきだ。
上の写真くらいラバーが傷んでいればわかりやすいが、ソールの山が残っていようが、減っていようが、この劣化は人間の年齢による衰えと同様に、どんなシューズにも平等にやってくる。
極端な話をすると、一度も山で使用していないデッドストックのブーツなんてのも、ショップや自宅で大事に保管されていようが劣化が進んでいる。ファッションで履くなら過去の名作モデルも捨てがたいが、山で履くブーツは新しいに限る。
この経年劣化が進んでいることに気がつかず(もしくは無視して)履いてしまうと、ソールがベロンと丸ごと剥がれることもある。これはアウトソールの内側にあるミッドソール(クッション的役割を果たす)のポリウレタンが傷み、接着面が剥がれてしまうから。
ポリウレタンは湿気やカビに弱く、ブーツのパーツの中でもっとも傷みやすいパーツといえる。山でたまにブーツのソールが落ちていることがあるが、あれはポリウレタンの経年劣化が進んだブーツの成れの果ての姿なのだ。