■高さ20m以上の「立佞武多(たちねぷた)」は圧倒的大迫力

立佞武多の題材は歴史や物語の登場人物などにこだわることなく、時勢を反映したものが多いという

 青森県には各地にさまざまな「ねぶた」「ねぷた」の夏祭りがあるが、青森市の「青森ねぶた祭」、弘前市の「弘前ねぷたまつり」と並んで有名なのが、五所川原市の「五所川原立佞武多(たちねぷた)」だ。青森が立体的な人形型、弘前が平面的な扇型な山車なのに対し、五所川原は高さが20m以上もある立佞武多(たちねぷた)であることが特徴。山車のスケール感としては最も迫力があるかもしれない。

 五所川原市の中心部にある「立佞武多の館」に、その巨大で鮮やかな立佞武多が展示されており、山車の迫力や歴史を知ることができる。立佞武多展示室に入ると目の前に3台の山車が並び、その高さに圧倒される。これらの山車は祭で実際に使用されているもの。大きいものだと高さ約23m、重さ約19tにもなり、それぞれの山車ごとにテーマがあるという。

 エレベーターで4階に上がると立佞武多(山車)の顔の部分を近くから見ることができる。らせん状にスロープが配置され、山車をぐるりと360度から眺めながら、下へ下へと階を降りていくレイアウトがおもしろい。また、大型スクリーンで立佞武多の祭りの映像などを見ることができ、祭りの熱気や迫力を感じることができる。

立佞武多の後ろに描かれている「見送り絵」も間近でじっくり鑑賞できる
「立佞武多の館」で五所川原のねぷたを実感

 

■「立佞武多」は1世紀ぶりに復活した!?

らせん状にスロープを進みながら、立佞武多の説明や歴史などを知ることができる

 「立佞武多の館」では、「五所川原立佞武多」の歴史について知ることができる。そこで得た情報によると、古くは素朴な形だった「ねぷた」が次第に大型化し、明治時代の五所川原には高さ20m級、30m級もの巨大ねぷたが出現するようになったという。その後、電気の普及で街中に電線が張りめぐらされるようになったことでねぷたは小型化し、そのまま巨大ねぷたの記憶は薄れてしまったのだとか。

 しかし、大工の家屋から巨大ねぷたの台座の設計図が見つかったことで転機が訪れた。平成8(1996)年に有志によって高さ16mの巨大ねぷたが復元され、その際に「立佞武多(たちねぷた)」と命名された。有志によるその活動が市のサポートを受けて立佞武多を運行する流れへと繋がり、平成16(2004)年に巨大な立佞武多を3台格納できる「立佞武多の館」が誕生した。こうした五所川原市民の熱い思いが詰まった立佞武多を眺めていると、感慨深いものがある。

 展示されている立佞武多は1年に1台ずつ新たなものが作られて交換されていく。「立佞武多の館」内には立佞武多を組み立てる製作所があり、製作風景を見ることもできる。祭りの当日は建物の可動壁がオープンし、5階建てのビルの高さに相当する山車たちが街へと出陣し、市街地を練り歩く。

■旅の拠点となる青森空港で買い物も

本州最北の青森県も飛行機ならひとっ飛びで楽々アクセスできる

 五所川原市へのアクセスは飛行機が便利。青森空港から電車やバスを乗り継いでアクセスもできるが、あちこちめぐるならレンタカーが重宝する。レンタカーターミナルが空港に併設されており、ここから車を利用すれば五所川原市まで大体45分ほどで到着できる。

 また、空港内には多数のショップがあり、観光帰りにさまざまなお土産を買い求められる。県内各地の名物を取り揃えており、特に青森特産のりんごを使った商品は種類が豊富。お菓子やジュース、シードルに至るまで、多種多様なりんごのお土産が揃っている。ほかにも、大間のマグロや陸奥湾のホタテなどの海産物が充実していてうれしい限りだ。空港内のレストランには地元名物を味わえる店舗もあり、飛行機の搭乗を待つ間に買い物やグルメを堪能できる。

 今回訪れた時期はまだ雪の多い時期だったが、冬の終わりが近づくこれからの季節は寒さが和らぎ天候も安定していくことだろう。東北の地に春が訪れるタイミングで青森県を訪れ、地域の魅力がいっぱい詰まった五所川原市へと観光に繰り出そう。

県内各所で見かけたりんごのお菓子。トースターで温めても冷蔵庫で冷やしてもおいしくいただける
青森空港で買い物やグルメを満喫

 

●【MAP】立佞武多の館