雪の中を歩いて楽しむスノーハイクに、おすすめの高原がある。長野県の茅野市と諏訪市の境に位置する「霧ヶ峰(きりがみね)」だ。八ヶ岳中信高原国定公園の中部にある高原で、日本百名山の一座として数えられている。

 最高峰の「車山(くるまやま)」は、春から夏にかけては、レンゲツツジやニッコウキスゲなど季節の花々や緑が一面に広がる爽やかな高原として有名だ。ハイキングコースからは八ヶ岳連峰や富士山、日本アルプスの山々を見渡すことができる。

 車山の標高は1,925mあり、冬季は雪に覆われるため大部分はスキー場として利用されるのだが、一部のエリアでは雪原の中を歩く「スノーハイク」を楽しむことができる。白銀に染まった冬の時期にも、一度は訪れてみてほしい場所だ。

 霧ヶ峰までは、ビーナスラインを通って車でアクセスでき「車山肩駐車場」から車山山頂までのルートは、ゆっくり歩いても片道1時間、往復2時間ほどで行くことができる。危険個所もないため「最も簡単に登れる日本百名山」といわれるほど登りやすい山だ。今回は2023年2月に実際に筆者が訪れて、360度の銀世界が広がる絶景の中、スノーハイクをした様子をお伝えする。

■スノーハイクに必要な装備とは

滑らないように登山靴にチェーンスパイクを装備

 スノーハイクをするには「チェーンスパイク」や「軽アイゼン」が必要だ。傾斜のきつい雪山などでは更にグリップ力のある「12本爪アイゼン」等が必要となるが、緩やかな上りしかない車山では基本的に不要である。

 しかし、降雪後で雪が深く積もった時はこれらの装備だけでは歩きづらいため、雪の上でも沈まず歩くことのできる「スノーシュー」が必要となってくる。スノーシューは「車山高原 SKYPARKスキー場」で1日 1500円でレンタルできるので、雪の状態をみて必要があれば借りよう。

 また、車山は2月の厳冬期にはマイナス20℃まで冷え込むことがあるため、服装には十分注意が必要だ。基本的には積雪のない秋冬の登山装備と同じで、インナーには吸湿速乾性に優れた素材のもの、中間着にウールのシャツやフリースなど保温してくれるもの、アウターは防水透湿性にすぐれたものを着用し、状況に応じて調整しやすいレイヤリングをすると快適に行動できる。

 さらに、手や耳を出していると凍傷になってしまうリスクがあるので、ニット帽や手袋があると安心だ。あわせて休憩時に羽織れるコンパクトになるダウンジャケットや、保温ボトルに温かい飲みものを用意しておくとよいだろう。そのほかの必要な装備については、車山高原 SKYPARKスキー場のホームページに詳しく載っているので、ぜひ参考にしてみてほしい。

●【MAP】車山高原SKYPARKスキー場

「車山高原 SKYPARKスキー場」のホームページ(スノーシューで必要な服装と持ち物):https://winter.kurumayama-skypark.com/snowshoe/fukusou

■白銀世界を堪能!  車山ハイキングコース

車山肩駐車場からスノーハイク開始

 車山肩駐車場に車を停めて、早速スノーハイク開始だ。登り始めから遮るものがない雪原風景が広がっている。ハイキングコースの脇にはポールが立っているので、目印にして進んでいこう。

キラキラと輝く雪原の中を歩いていく
風によって描かれた雪原の模様(撮影:酒井 天里)

 雪で覆われた世界には、普段見ることができない景色が広がっている。風によって描かれた雪面の模様や、舞い上がりキラキラと輝く粉雪、青空とのコントラストなど全てが美しく魅了される。

車山のハイキングコースから見る八ヶ岳連峰
車山のハイキングコースから見る富士山と南アルプス

 雪原を進んでいくと風景が開け、八ヶ岳、富士山、南アルプスのダイナミックな絶景が一望できる。雪原の先に広がる山々の風景は、ここでしか見ることができない特別な眺望だ。