毎週のように休日に登山をしている私は、山選びのためにたくさんの天気予報をチェックしている(ヤマテン、登山天気、SCWなど)。この日(2024年1月24日)は冬型気圧配置で最強寒波がやってくる予報。群馬の赤城山は晴れそうだと読み、行き先を決めた。以前にInstagramで見かけた赤城山のモルゲンロートを私も撮影したいと思い、駒ヶ岳の尾根から日の出を見る計画を立てた。ルートは「おのこ駐車場」から駒ヶ岳と主峰黒檜山(くろびさん・標高1,828m)を周回する。山選びのポイントは晴れる見込みがあるか、撮影したい景色に重きをおいている。
※赤城山への道路は積雪や凍結がありますので、スタッドレス等の冬用タイヤが必須となります。
■スタートはヘッドライトを灯してナイトハイク
寒波というだけあって、車から降りた瞬間のあまりの寒さに「やっぱりやめようか」と心が揺らぐ。マイナス10℃以下で風も強い予報だったが、駐車場の時点で凍てつく風が吹きつける。でも、こういう日は絶景が待っていることが多いので、写真家魂としては気合が入る。寒さと暗さは不思議と慣れてしまって、歩き出すと全く気にならない(もちろん装備は厳重)。それよりも白んでくる空にソワソワと落ち着かないので「どんな景色が待っているだろうか」と考えながら一心不乱に登る。
鉄製の階段に雪が積もり、嫌な感じに立ちはだかっていた。滑って転ばないように慎重に足を運んでいく。赤城山の駒ヶ岳は登り1時間弱で展望の良い場所にでるので、比較的早く日の光の温もりを感じられる。
■眼前に広がるモルゲンロートの世界
尾根に出るとヘッドライトはいらないくらいに明るくなっていた。東の空は太陽が昇る前のオレンジ色の帯が日の出のカウントダウンをしている。「どこから日が昇るかな」と胸が高まりながらも我慢してもう少し先へと進んだ。駒ヶ岳の少し手前で良さそうなスポットを見つけ、ここで撮影をすることに決めた。
北関東平野に朝日が登ってくる瞬間は、息を呑むほどの美しい朝焼けが始まる。強風に流れる雲が黄金色に染まり、私たちがいる赤城山はピンクのモルゲンロートの世界に包まれる。駐車場で一瞬怯んでいたが、予想通り絶景と出会うことができた。
そんな美しい世界を私は届けたいと思っている。美しい世界は簡単には行けないかもしれないが、実は身近にあるのだ。