今回紹介する神戸市北区にある鏑射山(かぶらいやま)は、標高327mの小さな山だ。
ここは山麓の「金玉(かなたま)稲荷大明神」、中腹の「烏帽子岩(とりぼうしいわ)」、山頂付近の「鏑射寺(かぶらいじ)」と登り始めから山頂まで、見どころが詰まった隠れスポット。JR道場(どうじょう)駅から歩いても遠くないが、山頂までの道はすべて舗装道路。そのためドライブスポットとしても人気がある。ではさっそく、山麓から順に紹介しよう。
■鏑射山山麓:「金玉稲荷大明神」
JR道場駅から800m、徒歩約12分で到着するのは鏑射山の登り口にある「金玉稲荷大明神」。地元では「かなたまじんじゃ」と呼ばれているらしい。訪れると話のネタになりそうな隠れスポットだ。
金玉稲荷大明神は、こじんまりとしているものの、立派な社を持つ。社の前が枯れ沢になっており、神秘的な雰囲気が漂う。なお金玉稲荷大明神の看板はないので、地図を見ながら入口を探して訪問することになる。
●【MAP】金玉稲荷大明神
■鏑射山中腹:「烏帽子岩」
烏帽子岩は関西でも屈指のロッククライミングスポット。烏帽子岩に行くには、鏑射寺に至る本線からそれ、山道を歩く。道なりに歩けばすぐに現れる、とてつもなく大きな岩壁が烏帽子岩だ。
烏帽子岩では、ロッククライミング愛好者たちが練習をしていることが多い。その登っている姿から岩壁の大きさがよくわかり、烏帽子岩の迫力が一層増して感じられる。
●【MAP】烏帽子岩
■鏑射山山頂付近:「獨鈷山鏑射寺」
獨鈷山鏑射寺(とっこさんかぶらいじ)は、聖徳太子が生母、間人(はしうど)皇后の故郷に創建したと伝えられる古刹である。聖徳太子が鏑矢(かぶらや)を奉納したのにちなみ、鏑射寺と命名された。
鏑射寺は、明治初頭に廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)運動により放火され、廃寺となった。廃仏毀釈運動とは、明治元年(1868年)に出された神仏分離令に端を発した、仏教排斥運動のことである。
昭和30年代、皇族であった久邇宮朝融王(くにのみやあさあきらおう)が、廃寺となっていたところに参拝されたことがきっかけで鏑射寺は復興された。鏑射寺の境内はかなり広く、三重塔や本堂、弁天堂など建物も新しく立派。鏑射寺の境内には写真映えするスポットや、眺望がよいスポットもあるので探してみよう。
なお、弁天堂の石段脇にある大樽が、何なのかわからず気になった。樽の周りはきれいに掃き清められているのだが、看板や説明文もなければ、花も賽銭箱もない。樽の正面には扉のようなものがあるのだが、タガで縛ってあり、開かないようにしてある。後日寺の方に聞いたところ「特に意味はない」とのことで、なんだか思わせぶりな謎の大樽だ。
URL:https://www.kaburaiji.or.jp