■弘前のシンボル「弘前城」
弘前の街のシンボルといえばやっぱり「弘前城」。弘前のはじまりは、戦国時代に津軽為信が津軽を統一し、二代目藩主の信枚(のぶひら)が弘前城を築きたことがきっかけだ。城下町とした栄えた弘前は、以後、明治維新の廃藩に至るまでの260年間、津軽地方の政治や経済、文化の中心地として繁栄してきた。地元の人の話によると、「弘前にはその頃からずっとここで暮らしてきた住民が多い」という。
城は現在、弘前公園として整備され、本丸や北の郭などを散策できる市民たちの憩いの場。天守は江戸時代に再建されたものとしては、東北地方に現存する唯一のものとなる。天守は本来、堀に面した石垣に鎮座していたが、現在は100年ぶりの石垣修理のため本丸の内側に移動されている。石垣の上にあったときよりやや小ぶりに感じるものの、天守をぐるりと一周見て回れるよい機会ともいえるだろう。また、石垣に囲まれた本丸は視界が開け、空気の澄んだ日には岩木山を望む絶景と出会える。
桜の名所としても有名は弘前城は、春になるとソメイヨシノ、枝垂桜、八重桜など2600本あまりの桜が園内を埋めつくす。毎年4月23日~5月5日に「弘前さくらまつり」が開催され、この時期は県内外からたくさんの花見客が訪れる。
■弘前市街地で洋館めぐり
弘前では文明開化の訪れとともに、市街地にさまざまな洋館が造られた。弘前公園を中心とするエリアにこれら洋館が多く集まり、街めぐりとともにノスタルジックな建物を見て回れる。
どんな洋館があるかというと、旧弘前市立図書館、旧東奥義塾外人教師館、旧第五十九銀行本店本館、弘前昇天協会など紹介しきれないほどさまざまある。ルネッサンス様式やゴシック様式、和洋折衷など、洋館ごとに個性があり、とんがり屋根やドーム型の塔を備えた独特な建物も。どの建物も洗練されていて当時の建築技術の高さが窺い知れ、有料もしくは無料で内装まで見られる洋館がある。
こうした貴重な文化財を青森県では県重宝(けんじゅうほう)と呼称しており、ほとんどの洋館が県重宝や、国の重要文化財、有形文化財などに指定・登録されている。ガイドブックを手にロマンあふれる洋館をあちこちめぐり、ノスタルジックな気分にどっぷり浸るもの楽しい時間だ。
■弘前では「地のもの」が存分に味わえる店多し
せっかく弘前を訪れたのなら、地元名物も味わっていきたい。そこで地元の人に教えてもらった、津軽郷土料理が豊富だという居酒屋へと繰り出した。まずは「これは絶対食べておいたほうがいい」と言われた刺身盛りを注文。さすがは魚介が豊富な地域。地元名産のヒラメやホタテをはじめ、カンパチ、マグロ、ハタ、タコなど新鮮な刺身がたっぷり盛られて運ばれてきた。新鮮さはもちろん、厚みもあり、魚本来のおいしさをたっぷりかみしめられるのが幸せだ。
ぶつ切りしたイカゲソがゴロゴロ入った「イカメンチ」を熱々のままほおばり、ホタテの貝殻を鍋代わりにして作るた「ホタテ貝焼味噌」も厚みのあるホタテがおいしくて箸がとまらない。焼き物や煮物、酢の物や漬物などの小鉢に至るまで海の幸がてんこ盛りだ。料理はどれも手ごろな価格で、さまざまな郷土料理を存分に味わった。
■弘前の台所!?「虹のマート」の買い物が楽しい!
観光地ではないが、地元に詳しい人から「弘前市に行くならぜひ寄ってみて」とおすすめされたのが「虹のマート」という食品市場。弘前駅から歩いて5分ほどの距離にあるこの市場は、地元の商店のみが出店。観光客向けの市場と違い、「弘前の台所」として地元住民が毎日のように買い物に訪れる地域に密着した市場だ。
近隣漁港で水揚げされた新鮮な魚介や、果物、乾物、調理された総菜なども揃い、買い物がてら総菜などを買って飲食スペースで食事をすることもできる。弘前で暮らす人たちの日常に触れられ、懐かしさや温かさ、そしてなんだか元気までもらえる活気のある場所だ。「青森スプリング・スキーリゾート」から弘前市街地までは車で40分ほどの距離。スキー場を訪れたら、弘前まで足を延ばし、ロマンやおいしさ、そこに暮らす人たちの生活感まで触れられる、“ディープな弘前観光”を楽しんでみよう。