“その一皿”を食べるために「旅」をしよう！北海道「余市SAGRA」／岩手「焼肉FABIO」／福島「丸忠」【デスティネーションレストラン・前編】｜トラベル｜特集

　素敵な旅を彩るひとつの要素「食事」。他の場所にはない“その一皿”を食べるためにでかけてもいい。今回は各地のガイドやカメラマン、グルメスキーヤーから聞いた情報をもとに、この冬食べにいきたい料理を紹介しよう。

■「余市SAGRA」／北海道余市

移転のきっかけになったという赤井川村の農家が育てたアスパラガス

©THE ART OF PLATE

●この場所、その時だから食べられる料理を

　北海道の余市・尻別地域は日本海に面した漁港で新鮮な魚介が手に入り、道内随一のりんごや梨、ぶどうの生産地でもある。内陸には山があり、海・山・畑の恵みが集まる場所だ。

　そんな余市・尻別地域の食をより良くお客さまに提供するために、「その場所でお店を開いて食べてもらうこと」という答えに辿り着き、2017年に札幌から店を移転させたのが「余市SAGRA」。

　宿泊ができるオーベルジュだが、冬季はランチも営業している（不定休）。冬は地の魚介やきのこ、ジビエなどがテーブルを彩る。「余市SAGRA」は美味しいことはもちろんだが、わざわざこの地に訪れてもらうからこそ提供できることを最も大切にしている。それは、食を通して余市の自然、風土、四季を感じてもらうことだ。

　そのためにこの場所で、食材が一番活きる状態・調理法で食べてもらう。時には華やかさと真逆の料理と感じられることもあるが、この土地のその瞬間を味わえるように作られている。「他にはないレストラン」を探しているのなら、“美味い”以上の体験を求めて訪れてほしい。

余市SAGRA（よいちさぐら）
住所：北海道余市郡余市町登町987-2
営業時間：ランチ12:00一斉スタート、ディナー18:00一斉スタート
料金：ランチ11,000円～、ディナー21,050円～
※1名での利用不可
※冬季は不定休ため営業日はHP等で要確認

HP：https://sagra.jp/

■「焼肉FABIO」／岩手県八幡平

●生産者の店で食べる八幡平サーモン

　岩手県八幡平市にある「焼肉FABIO」は、観光客や地元民から親しまれる町の焼肉屋だ。地元ブランドの八幡平牛や岩手県を代表する前沢牛、隣町の二戸から仕入れる佐助豚など、味にこだわり地元食材を中心に肉や野菜を提供している。

　しかし、ここで必ず注文したいのが八幡平サーモンだ。実は「焼肉FABIO」を経営する高橋さんは、ニジマスの養殖業を営む生産者でもある。そこで育てたニジマスを独自ブランドにしたものが八幡平サーモンなのだ。

　日本名水百選の「金沢清水」を使用し、三年の歳月をかけて育てたサーモンは外国産に比べて清々しい脂で上品な味わい。そして鮮やかな身の色が特徴だ。都内のミシュランで星を獲得している店舗や県内の料亭、イタリアンにも卸されている。

　その八幡平サーモンを生産者の直営店で食べられるのは全国でもこの店だけだ。店では刺身やカルパッチョなどで味わえる。新鮮な八幡平サーモンはプリプリで一度食べたら忘れられない味。東北のブランド牛と豚、そして魚のコラボレーションは想像するだけでお腹が空いてくる。

焼肉FABIO（やきにくふぁびお）
住所：岩手県八幡平市松尾寄木28-52
営業時間：11:00～16:00（金土日祝～20:30）
定休日：水曜日
料金：八幡平サーモンのお刺身 930円

HP：https://tabelog.com/iwate/A0305/A030501/3010501

■「焼肉丸忠」／福島県会津若松

●会津の文化を食す地元に愛される焼肉

　福島県は馬肉生産量が全国2位である。なかでも会津若松は古くから馬肉を食べる文化があり、馬刺しにして食べる熊本と異なり、焼いて食べるのが習わし。そこでオススメの店が「焼肉丸忠」だ。　

　もともと精肉店だった経験を活かし、“本当に美味しいと認めた肉”だけを仕入れている。ここで絶対食べたいメニューが「さくらセット」。会津では馬肉のことを「さくら」と呼ぶ。トロ、カルビ、ハツ、ホルモンの4種類が入ったこのセットは馬肉の魅力を体感できる。トロとカルビは脂っぽさがなくさっぱりしているが、噛むたびに肉の旨味が滲み出る。

　ハツはサクッとした独特な歯応えがたまらない。ふんわり食感のホルモンは一つ一つが大きくて、あのホルモンらしい独特な香りが口いっぱいに広がる。馬肉は刺身にして食べるヘルシーなイメージだが、焼くことで肉らしさが増す感覚が新鮮だ。もちろん鶏、豚をはじめ会津牛を使ったほかのメニューも味・量ともに満点。