大阪府池田市にある五月山（さつきやま）は、風光明媚な低山である。登山道には眺望抜群の展望スポットがいくつもあり、大阪湾から梅田市街地、伊丹空港、神戸の六甲山など、大阪平野を見渡す絶景が魅力だ。
また五月山は、登山だけでなくドライブやファミリーレジャーも楽しめる観光地。加えて周辺には池田城跡を始め、いくつもの観光地が集中しており、1日では遊びつくせない。さらにアクセスも良好。阪急池田駅から近いので、帰路に池田の城下町で一杯呑むこともできる。
ちなみにどこからどこまでが五月山と呼ぶのかはっきりしておらず、山頂と呼ばれる場所もない。一説によると、市営墓地と日の丸展望台の裏藪にある千代山（314.9m）が五月山の頂上とされているが、ここはあえて訪れるほどの場所ではない。
■五月山登山：1回目
五月山の登山道はしっかり整備されており、山全体を通して快適。山中は網目のように登山道が延びているが、至る所に地図や道標があるため迷う気がしない。とはいえ油断は禁物。地図や登山アプリなどは必携だ。
五月山の網目のような登山道は、隣町である箕面市（みのおし）の観光地「箕面大滝」まで続いている。したがって予定やメンバーに合わせて、行程の長さや難易度も自在に調整できるのが五月山の魅力だ。いざというときには、緊急下山も容易である。
複数ある五月山登山口の中で、今回筆者が選んだのは「五月山緑地都市緑化植物園」脇の登山口。ここから始まる「杉ヶ谷コース」を進んだ。道端にコースの解説があるのも興味深い。
途中の分岐から「炭焼き小屋コース」に入り、「五月平高原コース」と合流。そこから間もなく「大明ヶ原大文字（だいみょうがはらだいもんじ）」の斜面に到着した。
大明ヶ原大文字とは、五月山にある愛宕神社の火祭りのこと。毎年8月下旬に「大」の字が灯される。京都の「大文字五山の送り火」と意味合いは同じだ。
大明ヶ原大文字のすぐ後ろには五月平展望台があり、そこからの眺望も素晴らしい。しかし大明ヶ原大文字は、足元から上下左右180度に景色が広がっており、写真には納まりきれない迫力がある。
五月平展望台を過ぎると五月平が現れるが、大明ヶ原大文字が凄すぎて、ここはあまり感動しなかった。五月平を少し歩くと、公衆トイレがある五月山ドライブウェイの駐車場に至る。ここから日の丸展望台はすぐそこだ。
なお筆者はここで時間配分のミスに気が付いた。五月山の登山道は雰囲気がよく快適なので、お茶休憩したくなる場所が多い。特に大明ヶ原大文字では、離発着する大阪国際空港（伊丹空港）の飛行機に見入ってしまい、時が経つのを忘れてしまった。結果、五月山ドライブウェイの駐車場に至り、すでに暗くなりかけていたのである。
一旦は五月山ドライブウェイ脇に沿って延びる登山道から抜けようと考えたが、距離的に途中で日没を迎えそうだった。そこで、現在地から最短距離で下山できる杉ヶ谷コースを選択。日没前には下山できたのである。
このように五月山は、状況に応じて選べるエスケープルートが多い。ともあれ、山で時間を忘れてぼーっとしていたなど、小学生以来の失態であった。
五月山都市緑化植物園：https://www.ikedashi-kanko.jp/spot/recommend-spot11
●【MAP】五月山都市緑化植物園
●【MAP】炭焼き小屋
●【MAP】五月山大一文字・大文字火床（大明ヶ原大文字）
●【MAP】五月平展望台
■五月山登山：2回目
日を改めて、再び五月山を訪れた。今度は同じ失態を犯さないよう、杉ヶ谷コース、炭焼き小屋コース、五月平高原コースと、前回と同じルートを立ち止まらずに進む。それでも天気や時間が変わると、また違って見える大明ヶ原大文字では、やはり多少長居してしまった。
ここから日の丸展望台とその裏藪にある千代山（314.9m）を訪問。続いて「ひょうたん島」と呼ばれるスポット「愛宕神社」にも立ち寄った。
なお、愛宕神社裏で五月山ドライブウェイ沿いにある「五月台」は、唯一、五月山の展望スポットの中で北西向きに眺望が開けており、他の展望スポットとは違う雰囲気だ。
五月台向かいには、公衆トイレのある駐車場がある。その裏から延びる愛宕神社参道の石段を下ると、五月山一番の人気スポット「秀望台（しゅうぼうだい）」だ。秀望台には愛宕神社の鳥居があり、それを見下ろす展望台もある。秀望台は大明ヶ原大文字同様、愛宕神社の火祭りの場所で、「大一」という文字の送り火が焚かれる。
秀望台の鳥居下の石段を下ると、「五月山公園総合案内所」の横に出て、下山となる。
