■元宮として天満宮境内に鎮座する土師社

 道路に戻って先に進み、長い階段をのぼって神門をくぐり道明寺天満宮の本殿へ。

道明寺天満宮本殿

 祀られているのは菅原道真と天穂日命(あめのほひのみこと)、そして道真のおばである覚寿尼(かくじゅに)である。

 道明寺天満宮の創建は947年で、もともとは土師社という土師氏(はじうじ)の氏神社だった。土師氏は天穂日命を祖神とし、第11代垂仁天皇のときに野見宿禰(のみのすくね)が姓を賜っている。土師社もこのときに建立したとされるので、1400年以上の歴史がある。そして、いまも元宮として天満宮の境内に鎮座しているのだ。

土師社の鳥居と社殿

 道明寺界隈は古市古墳群のエリア内であり、近くには「仲姫命陵古墳(なかつひめのみことりょうこふん)」や「允恭天皇陵古墳(いんぎょうてんのうりょうこふん)」といった巨大前方後円墳や大小さまざまな古墳が点在している。土木技術集団でもあった土師氏はこの地を本拠とし、これらの古墳造営や埴輪の製作にたずさわってきた。

 この土師氏に連なる一族の一つが菅原氏で、道真は土師氏の末裔にあたる。道真は政争に敗れて大宰府に左遷されるが、その途中に道明寺に立ち寄って覚寿尼と対面し、別れを惜しんだといわれている。

■道明寺天満宮から道明寺へ

 そして、さらに珍しいものが保管展示されていて、それが「修羅」だ。

境内で展示されている復元された修羅

 修羅とは古墳造営に必要な巨大な石を運ぶためのソリのこと。1978年に神社近くの三ツ塚古墳で発見されたものの復元品である。かなりダイナミックなフォルムではある。

 天満宮を出て、坂をのぼったところにあるのが道明寺。聖徳太子による尼寺建立の発願によって開かれたという由緒を持つ。

道明寺の山門

 宗派は真言宗御室派。本尊の十一面観音は国宝に指定されている。

道明寺の本堂

 このように道明寺駅界隈には、1500年前の土木技術者集団と1100年前の政争に敗れた悲運の貴族の名残を現在に伝えている。次回はうって変わって、かつて存在した西日本最古の遊園地跡を紹介したい。

(つづく)