●毒魚とは思えない繊細な味
骨をとったゴンズイは、卵を入れたボリュームのある衣で揚げると、水分が閉じ込められてうま味が逃げない。ゴンズイはキスの天ぷらと遜色がないほど味がよくてびっくり。キスと比べるとやや脂がのっており、キスとアナゴの中間のような味わいだった。
むしろ、アナゴよりもクセがなく、毒魚のイメージには似つかわしくない繊細な味。トゲを取るのに躊躇するかもしれないが、その手間をかけただけのことはあるおいしさだ。
③外道? いやいや実はレアな魚「コショウダイ」
斑点が体についた姿が特徴的なコショウダイ。コショウを振りかけたように見え、この名前になったとか。こちらの魚は外道ではないが、流通量が少ないためあまり知名度が高くない「マイナー魚」だ。
タイと名はついているが、あの高級魚イサキの仲間。味もイサキに負けないくらいのおいしい魚。出会えたらラッキーだ。
●手軽な調理で絶品!
コショウダイはシンプルに塩焼きで。ウロコと内臓を取って塩をまぶし焼くだけのお手軽調理。身は程よくしまり、かみしめるとうま味がしみ出してくる。塩焼きにしたことで香ばしい風味が出ておいしい。
骨ばなれもよく食べやすい。漁獲量が多ければ食卓の主役にもなる魚だ。なお、コショウダイは刺身でもおいしく食べられるようだが、ディディモゾイド吸虫という寄生虫がいることがある。生きている時は黄色い袋状で、死後は黒色をしているのが特徴だ。人間に寄生することはないが、見つけたら取り除くことをおすすめする。
■SDGsで外道が本命に変わる日も……
外道と聞くと「釣れたら嫌な魚」というマイナスイメージをもつ人も多いだろう。しかし、正しく処理をすればおいしく食べられる魚も多く、新たな魅力に気が付くはずだ。
昨今では水産業界でも、「見た目が悪い」「知名度が低い」などの理由から流通から外されてきた魚「未利用魚(みりようぎょ)」を、水産資源活用のため積極的に食卓に届けようという取り組みが行なわれている。
これは、世界中で浸透しつつある、SDGsの目標に「海の豊かさを守ろう」が掲げられたことも影響しているだろう。漁業の持続的な発展のため、今まで外道として見向きもされなかった魚が日の目を見る日も近いかもしれない。