■外道と言われるけれど

 釣りをしていると、ターゲット以外の魚が釣れることがままある。このように本命以外の魚のことを「外道(げどう)」という。狙っていた魚とは違う魚が釣れてしまうとがっかりしてしまうし、扱いに困るもの。

 稚魚で元気ならばリリースしたほうがいいだろう。しかし、外道と呼ばれる魚にも食用魚は多い。その中に実はおいしい魚もいる。今回は、外道を釣ってしまった際の注意点と、筆者が実際に食べておいしかった「外道魚」3選をご紹介しよう。 

■本命ではない外道を釣ったときの注意点

 まず、本命ではないよく知らない魚を釣った場合は、リリースする、持ち帰るに関わらず、魚種をよくみてから釣り針を外そう。

■毒魚ではないか? 

猛毒魚で釣り人に嫌われるフグ

 堤防で釣れる魚には毒魚も多くいる。有名なのは有毒魚のフグ類があげられるだろう。フグ類はテトロドトキシンという毒を卵巣・肝臓等の内蔵、種類によっては皮・筋肉にも含んでいる。

 青酸カリの1000倍以上の強い毒性があり、毎年のようにフグ中毒のニュースが報じられているので耳にしたことがある人も多いかもしれない。フグ以外のよく釣れる有毒魚には、キタマクラ、ソウシハギ、イシガキダイといった魚が挙げられる。

 このような有毒魚は絶対に食べてはいけない!  死亡例もある恐ろしい魚だ。特に、キタマクラ、ソウシハギは食味が良いカワハギ類と混同されることが多いので注意しよう。しかし、似ている魚の場合、見分けるのが難しい。

 そんなときにはスマホアプリ「Googleレンズ」で検索をかけると、ある程度魚種を判別してくれるのでとても便利。100%ではないが、検索をかけた際に有毒魚がヒットした場合は食べない方が安心だ。もちろん、魚図鑑で調べたり、釣りに詳しい人に聞いてみたりするのもいい方法だ。

■トゲがないか?

毒がない魚でもトゲには注意しよう

 針から外すとき、注意しなければいけないのは毒のトゲをもつ刺毒魚(しどくぎょ)。堤防釣りなどでよく釣れるゴンズイもその一種だ。

 ゴンズイは背ビレと胸ビレにトゲをもち、そこからタンパク毒を注入する。触ると激しい痛みが走るため素手で扱うのは危険だ。このような刺毒魚を針から外す際は、フィッシュグリップとプライヤーを使って針を外そう。

 刺毒魚には、カサゴ類のミノカサゴやオニオコゼ、釣り人から毒魚として知られているアイゴなどが有名だ。これらの魚にもし刺されてしまったら、すぐに医療機関を受診しよう。

■実際に食用可な「外道3種」を食べてみた

 今回は、実際に筆者が釣って食べた、外道と呼ばれる魚を3種紹介する。

①ヌルヌル、トゲトゲ、だけど美味!「ヒイラギ」

ヒイラギは塩でぬめりをとる
ぬめりをとるとメタリックな魚体

 ヒイラギは堤防釣りや青物狙いのときに釣れる「外道」。体中をヌルヌルした粘液が覆っており、バケツの中に入れておくと水もヌルヌルになってしまうほどだ。体には毒はないが、トゲがあるのでこの点も釣り人から外道として嫌われる理由だろう。

 ヒイラギは塩をまぶし、ザルを使って流水で洗うとヌルヌルがとれる。トゲが鋭く素手だとケガをする恐れがあるため、トングを使って塩洗いするのがおすすめだ。ぬめりが取れたらハサミでトゲを切り、頭と内臓を取ろう。このように下処理をすれば調理もしやすい。

●下処理をすればおいしい魚

ヒイラギの南蛮漬け

 自宅に持ち帰ったヒイラギを、南蛮漬けにして食べてみた。コツはじっくりと10分ぐらい揚げること。こうすることで骨ごと食べられるようになる。

 身はホロホロとした白身で食べやすい。味にクセがないのでいろいろな料理にアレンジができそうだ。骨が固いので、取り除くか揚げ物にするとよい。あのヌルヌルからは、想像ができないほどおいしい魚だ。

②毒のトゲをもつ魚「ゴンズイ」

トゲに毒を持つゴンズイ
ゴンズイの身はきれいな桜色だ

 釣り人から嫌われる毒魚・ゴンズイも立派な食材になる。毒のあるトゲは背びれと左右の胸びれについているのでハサミで慎重に取ろう。ゴンズイの毒は死後も残るので注意。今回は、頭を落として皮を剥き、中骨も取り除いた。

 ゴンズイの身は桜色をしたきれいな身。筆者は天ぷらにして食べてみた。