■焚き火事故を防ぐための対策
キャンプに焚き火は欠かせない楽しみ。大きな事故にならないために、焚き火をする時に気をつけておくことを紹介する。
⚫︎火に強い「難燃素材」を着用
冬によく着用する、フリースや毛糸などは、わずかな炎で短時間に衣類を燃やす「表面フラッシュ現象」が起こりやすい。起毛している生地は表面に空気を含んでいるため燃えやすく、気づいたら火が回っていたということも少なくない。
難燃素材は、燃えにくい性質を持った繊維なので、焚き火のシーンにおすすめだ。消防士の服にも採用されており、アウターやトップス、パンツなどさまざまなブランドから難燃素材を使用したアイテムが販売されている。
モンベルは「フレアテクト」、グリップスワニーは「FIRESHIELD」、ワークマンは「フレイムテック」など、独自の難燃素材を展開しているブランドやメーカーもある。それぞれに特徴が異なるので、自分にあったものを選択すると良いだろう。
難燃素材には、基本的に商品タグに難燃加工などの表記がされているのが一般的。服のタグに難燃素材を記載しているものもあるが、「綿100%」など素材の表記のみとなっているものもあるので、商品タグをチェックするようにしよう。
また、難燃素材と同じく燃えにくい性質として防炎加工もある。違いは以下の通り。
難燃素材:繊維自体を燃えにくいように加工
防炎加工:製品が出来上がってから難燃剤を付着
どちらも火に強い性質があり、作業服やアウトドア用品などに多く使われている。中には耐久性に優れたものや保温性の高いものなどもあり、アウトドアで活躍する。ただし、難燃素材だからといって全く燃えないというわけではないため、留意しておこう。
⚫︎洋服はジャストサイズを選ぼう
最近流行りのビックシルエットやボリュームのあるポワン袖、袖の長い萌え袖はNG。焚き火料理中に、置いているものを取ろうとして服に火が移ってしまうケースもある。自身は火を避けたつもりでも、服が火に触れてしまうことがあるからだ。
特に寒い季節は厚着をすることが多いため、炎がうつったことにも気づきにくく、見えにくい場所だと発見が遅れてしまう。洋服は体に合ったサイズを選び、焚き火の近くにいる時には十分に注意しておこう。
⚫︎マフラーやストールは外す
マフラーやストールは気をつけていても、自然と垂れ下がってくることがあるので注意が必要。特にマフラーは、燃え広がりやすいフリースやニット素材が多く使われている。一旦火がつくと顔周りに向かって炎が迫ってくるため、パニックになることも。
マフラーの代わりにネックウォーマーを着用するほか、襟が立ってしっかり首元をカバーできるアウターにするのが良いだろう。
■着衣着火時の対処法
これらの予防対策を講じていても、着衣着火が起こってしまった場合の対処法としては、燃えている衣服を脱ぎ捨てるのが一番早く対応できる。また、近くに水がある場合は水をかけて消火。もし、水がない場合は燃えている部分を地面に擦り付けるとよい。広い範囲で燃えている場合は、地面に転がることで火が上がってくるのを防げる。
実際に消防などでは「ストップ、ドロップ&ロール(止まる、倒れる、転がる)」が推奨されている。慌てて体を振ったり、走り回ってしまうと火の回りが早くなり、逆効果なので注意しよう。
■焚き火だけじゃない着衣着火に要注意
アウトドアシーンでは焚き火だけでなくコンロやバーナーでも火を扱う。また、寒い季節はストーブを使うこともある。ガスコンロの向こう側を取ろうとして袖口に火が燃え移ったり、ストーブの近くで暖をとっていたら膝掛けに火がついたりということも。
焚き火以外でもアウトドアでは火を扱うことが多い。寒い時期になると乾燥し、燃えやすい状況になるため、これからのキャンプではより注意が必要だ。