■カラフルなテントが紅葉に華を添える

涸沢ヒュッテのテント場を彩る約700張りのテント(撮影:田口 空)
霧が立ち込めて幻想的な日没直後のテント場(撮影:田口 空)

 最盛期の週末は色とりどりのテントが鮮やかだ。筆者が訪れた日は約700張りのテントが紅葉に華を添えていた。ピーク時は1000張りを超える日もあるらしい。夜になると、ライトの灯りをつけたテントが浮かび上がり、幻想的な景色が広がる。 

■朝日を浴びてオレンジに輝く紅葉モルゲンロート

赤く染まり始める東の空(撮影:田口 空)

 モルゲンロートとは、早朝に昇り始めた太陽の光が山々をオレンジに染める美しい現象のこと。午前5時40分、テント場では東の空が赤く染まり始め、テント泊や山小屋に宿泊する人々がモルゲンロートを楽しむために撮影の準備を始めていた。筆者もこの瞬間を最も楽しみにしていた。

オレンジに輝くモルゲンロートが見られるのは約5分間だけだ(撮影:田口 空)

 午前5時41分には穂高の山々の色が変わり始め、午前5時50分頃からは驚くほど美しいモルゲンロートを目にすることができた。約5分間の瞬間的な出来事だ。穂高の山々と紅葉の斜面が鮮やかなオレンジ色に染まる瞬間に歓声が上がり、カメラのシャッター音が響く。涸沢カールまで来て本当に良かったと感じる瞬間である。