■槍ヶ岳・穂高連峰が映り込む絶景の「鏡池」

鏡平山荘にある鏡池(撮影:兎山 花)

 小池新道登山口から約3時間半、ようやく鏡池に辿り着く。池の真正面に槍ヶ岳、穂高の稜線が見える圧巻の景色が広がる。池の水面には木々や雲、槍・穂高の稜線が映り込み、シンメトリーな世界が築き上げられている。

 新穂高温泉から約5時間以上登り続けた体はクタクタだったが、この景色を見た途端元気になった。角度を変え、立ち位置を変えカメラのシャッターを切るが、目に見えた景色以上のものをカメラに収めることはできなかった。

 池の脇の木道を奥に進むと、鏡平山荘に到着する。双六小屋までの間の最後の山小屋となるので、ここでゆっくり休憩しよう。ここから双六山荘までまだ2時間以上あるので、鏡平山荘で1泊するのもよい。 

■鏡平山荘から双六小屋まで

弓折乗越から見える穂高連峰(撮影:兎山 花)

 鏡平山荘から約1時間の急登を登り切ると弓折乗越(ゆみおれのっこし)に出る。往復15分ほどかかるが、余裕があれば三角点のある弓折岳へ寄り道してみるのもよい。

 ここから双六小屋まではアップダウンのある稜線歩きとなり、左前方になだらかな形の双六岳、右に穂高連峰のゴツゴツした稜線が見える。くろゆりベンチを過ぎてしばらくすると、遠くに双六小屋が見えてくる。

 ここから小屋の手前までは、ほぼ下り坂。正午過ぎ、鏡平山荘から約2時間10分でようやく双六小屋に到着した。

■「双六岳」、北アルプスの「天空の滑走路」へ

双六岳の「天空の滑走路」。槍ヶ岳は雲の中(撮影:兎山 花) 

 双六小屋から双六岳まで往復2時間ほどの道のりだ。受付を済ませ、軽荷で双六岳を往復する。双六岳の稜線に出るまでの急登が、疲れた足に堪える。

 40分ほど登ると「天空の滑走路」と呼ばれる広い稜線に出た。滑走路のはるか向こうに見える、小高く盛り上がった場所が双六岳の山頂だ。稜線上は360度の大展望だが、午後から雲が上がってきたため穂高連峰は雲の中となった。

 山頂までは広く平らな稜線を歩くため、視界が悪いと目指す場所が目視できずコンパスと地形図は必須だ。山頂に到着したものの、穂高連峰は雲に隠れて見えなかったため、諦めて下山を開始した。天空の滑走路を下山中一瞬雲が切れ、雲の間から槍ヶ岳が現れ、その大きさに圧倒された。

■下山、そして「早朝の穂高連峰」と「絶景の鏡池」再び

双六小屋から見える鷲羽岳(撮影:兎山 花)

 双六小屋の前には鷲羽岳(わしばだけ)がそびえ立っている。その秀麗な山容に後ろ髪を引かれながらも、翌朝、6時に下山を開始した。

槍ヶ岳と穂高連峰(撮影:兎山 花)

 弓折乗越までの稜線上では、ちょうど槍ヶ岳の穂先に太陽が昇り、まるで「ダイヤモンド槍」のような景色が見られた。また逆光となった穂高連峰の稜線が、くっきりと空に刻まれていた。

鏡池に映る景色と太陽(撮影:兎山 花)

 雲一つない空を映し出した朝の鏡池は、太陽が池に映り込み昨日以上に美しい姿になっていた。正午頃、新穂高温泉に無事下山し、長い山行が終わった。

■「秋」の「北アルプス登山」で気をつけたいこと

双六小屋(撮影:兎山 花)

 今回利用した双六小屋、鏡平山荘はちょうど年内の営業最終日であった。毎年10月中旬頃、営業終了となるので、利用する場合は必ず営業日の確認をしよう。また、秋になると水場も枯れていることが多く、夏に比べて日没も早い。降雪こそなかったが、朝の双六小屋前の木道は霜が降りて滑りやすくなっており、気温も低く防寒着や手袋を着用して下山した。

 降雪すればアイゼンも必要だ。登山口は「秋」でも山の上は「冬」。双六岳へは上り約7時間半、下り約5時間20分の道のりなので、十分に体力をつけて装備を万全にして、登山にのぞもう。

 

・双六小屋グループ
電話番号 0577-34-6268

・ホームページURL https://www.sugorokugoya.com/
※営業日時や最新の情報はホームページよりご確認ください