大阪府と奈良県の境に存在する大和葛城山(やまとかつらぎさん・標高959m)。
5月にはツツジが美しいと有名な山だが、秋にも絶景の季節を迎える。大和葛城山の山頂はとても広く、9月中旬からはその山頂一面にススキが自生し、黄金の穂をなびかせる。
そんな大和葛城山は一年を通して登山者が多く、四季折々の景色を楽しめるほか、様々なルートがあるので何度登っても飽きない魅力があるのだ。また、ダイヤモンドトレールと呼ばれる縦走路のうちの一つの山としても知られる。
そんな魅力いっぱいの大和葛城山だが、今回はススキの絶景が広がる秋の登山の様子をレポートしたい。
■大和葛城山登山ルート
山頂にアクセスするルートは幾つかあるが、この日歩いたルートは以下の通り。
水越峠バス停(標高482m)→ 約1時間30分 → 大和葛城山山頂(959m)→ 約2時間 → 岩橋山(658m)→約1時間 → 平石(河南町)バス停(標高175m)
水越峠バス停までは近畿日本鉄道の富田林駅前バス停(金剛バス)から土・日・祝日のみバスが運行しているが、運行本数は日に4本とかなり少ない。また、上記ルートの最終地点である平石(河南町)バス停から富田林駅前バス停も平日・土日祝日ともに日に2本しか運行していないので注意が必要。
水越峠から山頂までのルートはダイヤモンドトレールと呼ばれる縦走路の一部となる。ダイヤモンドトレールは金剛葛城系の稜線を繋ぐコースで、奈良県香芝市の屯鶴峯(どんづるぼう)から大阪府和泉市の槇尾山(まきおさん)までの長距離自然歩道のことを指す。
この縦走路は整備がきちんと施されておりとても歩きやすい反面、高低差のある階段が連続するため階段地獄と評されることもある。
水越峠から山頂までも例外ではなく急斜面の階段が続くが、1時間半ほど登れば山頂だ。夏山登山を終えそれなりに足腰も鍛えられたと思ってはいたが、少しスピードを上げて登るとすぐにバテてしまった。日々の継続的なトレーニングが重要だと思い知らされる。
■山頂には黄金の平原が
山頂に近づくにつれ登山道の両脇にススキが見えてきて、山頂に向かって吹き抜ける風に揺らめいていた。照りつける陽射しとは裏腹に夏に比べて冷たくなった風を肌に受け、季節の移り変わりを直に感じて少し寂しい気持ちになった。
そんな寂しい気持ちもつかの間、山頂に近づくにつれススキの見事さは増し、秋の素晴らしさに心打たれることになる。広い山頂は風がよく吹き抜けるため、あたり一面のススキがさわさわと揺らめいていた。
その日は筆者と同じようにススキを一目見ようと来た登山客で賑わっており、広い山頂では皆写真を撮ったり昼食を食べたりしていた。
山頂からは大阪平野が一望できるほか、天気の良い日には遠く北西方向に六甲山脈が、南にはダイヤモンドトレールの一座である金剛山が間近に見られる。