■危険レベル★★★ 乱暴に山道を闊歩「落石おじいさん」
北アルプスの表銀座、西岳から槍ヶ岳へ向かう東鎌尾根。槍の穂先を正面に見ながら歩みを進めていると、50mほど先の岩場の上からこぶし大の石が数m先に落ちてきた。よく見ると、ソロの年配男性が落石を起こしながら平然と下りてくる。落石注意を呼び掛ける「ラーク!」の合図も何も言わずにだ。
男性の落とした石は、筆者たちがこれから登る崖の下、30mほど落ちていった。落ちた小石は衝撃で跳ねて、加速度を増していく。だが、男性は落石には見向きもせず、何事もなかったように下山を続け、さらに2〜3個の石を蹴飛ばしながら通り過ぎて行った。
服装やギアからも長年山に登っている玄人のように見受けられ、難所でも足取りは軽い。それでも、歩き方が乱暴で、自分本位なのだ。
あの石が自分たちに当たったらと考えると、心底ゾッとした。早いペースで颯爽と歩きたい気持ちも理解できるが、周囲の登山者に被害を及ぼさないためにも「落石させないように歩く」ことの重要さを痛感した。
■あなたは大丈夫?「人の振り見て……」安全な山行を
これから紅葉のシーズンを迎える。各地の山々は多くの人でにぎわうことだろう。筆者自身、登山を通して多くの失敗や反省を重ねてきた。一方で、ほかの登山者たちの言動から学ぶことも少なくない。
「人の振り見て我が振り直せ」。お互いが気持ちよく、安全に山で過ごすためには何が必要か。子どものころから何度も聞かされてきたことわざの意味を、今一度かみしめたい。