■ストーリーを感じながら登る山

 岩屋山は岩屋城の戦いが繰り広げられた地であり、島津軍を迎え撃つ高橋紹運(たかはしじょううん)が激戦の後、玉砕した場所とされている。

 一方で立花山は岩屋山で玉砕した高橋紹運の長子である立花宗茂(たちばなむねしげ)が徹底抗戦して、島津軍に一矢報いた立花城があった場所である。ストーリーを知っているだけでも、登山は別の楽しみ方ができる。

●おすすめ低山5 「岩屋山」福岡周辺の主要な山々を見られる中心地

岩屋山の近くには広場もあり、太宰府市を一望できる(写真:川内 勇貴)

 岩屋山(いわやさん・標高281m)は、博多から電車で45分、山頂までは往復1時間45分で、市街の景色を望める。脊振山、宝満山など、福岡周辺の主要な山を一望できるのも見どころだ。車で山頂近くまで行くことができ、車を降りて約10分ほどで山頂付近の広場に到着する。

 岩屋山は四王寺山(しおうじやま)の一部で、同じ四王寺山には日本最大の古代城跡である大城山(おおきやま・標高410m)にもつながっている。歴史好きにはたまらない低山だ。気軽に山を楽しみたい場合にもおすすめだ。

・岩屋山
〒818-0100 福岡県太宰府市太宰府

●おすすめ低山6 「立花山」博多湾を見下ろす隠れた絶景ポイント

隠れた人気の山であり、県外からも多くの人が訪れる立花山(写真:川内 勇貴)

 立花山(たちばなやま・標高367m)は、博多から電車とバスで1時間、山頂までは往復2時間10分で、短時間で見られる絶景の他に、特別天然記念物のクスノキ原生林、戦国時代に多くの攻防を繰り広げた立花城の史跡と見どころが多く、県外の登山者も多い。

 道中はよく整備されており、山頂は眺望がよいため、夜景を楽しむためにナイトハイクする登山者も多い。山の中腹には樹齢300年を超えるクスノキが数千本自生し、独特の景色が楽しめる。

・立花山
〒811-0102 福岡県糟屋郡新宮町立花口

■来福の際はぜひ低山を登ってみよう

 低山には、海を見渡せる風景や、市街を一望するような独特の景色が見られるため、標高の高い山にはない魅力がある。

 この秋に初めて登山する方にも、県外から福岡に訪れる際にもぜひおすすめしたい山ばかりなので、参考になれば幸いだ。