■昭和大学の先生との会話「高山病を予防するには……」

白馬岳頂上宿舎内の玄関

 翌朝、先生が玄関で見送りに立ってくれていた。筆者たちを見ると「昨日に比べて、ずいぶん、顔色が良くなったね、白馬山三山を縦走するって聞いてるけれど、今日はどうするの?」と優しく声をかけてくれ「このまま大雪渓を下山します」と答えると「それがいいね」と同意してくれた。

 筆者が「過去に高所登山の経験もある友人がなぜ今回突然、高山病になってしまったんでしょうか?」と質問すると、「山小屋に到着したからといって、すぐに寝てはダメなんだよね。寝ると酸素を取り込む量が減るから」と先生。

 「山荘に到着してから、昼食を食べたり、白馬岳に往復したりして2時間ほどうろうろしてたけれど、それでもまだ足りないんですか?」と尋ねると「要は、体が高所に慣れていない状況で、横になると高山病になりやすいんだ」と教えてくれた。そういえば、彼女も到着時は元気だったのに、お昼寝して起きた後に、頭が痛いって言い出したことを思い出す。

■山の上で診療を受けられる有り難さ

翌朝、白馬岳頂上宿舎から見えた雲海

 今回、高山の登山経験があったにもかかわらず高山病になってしまった彼女は「もう死ぬかと思った、無事回復して下山できて本当によかった」と話してくれた。すべての山小屋に診療所が設けられているとは限らないなか、偶然診療所が併設されていた山小屋に宿泊し、その存在の有り難さをつくづくと感じた。

 筆者にとっても山の診療所を訪れるのは、はじめての経験で、医師やスタッフの優しい対応にとても感動した反面、素朴な疑問が頭の中に浮かんでいた。下山途中、彼女に「ところで、保険証や費用はどうなっているの?」と聞いてみた。保険証の提出も求められず、費用の話も一切なかったという。

 また「あれだけ苦しい中、助けてもらったのだから少しくらい多めに費用がかかっても全然惜しくないよ」と答えてくれた。後日、白馬岳頂上宿舎のホームページを確認するとこのように書かれていた。

 “医大昭和大学医学部白馬診療所 ボランティア活動という開設以来の一貫した理念と方針基づき現在も医師と学生により医療活動を行っています”

<引用>白馬岳頂上宿舎HP:http://yamagoya.hakubakousha.com/facility/

白馬岳頂上宿舎内に掲示されている高山病予防のお知らせ

 高山病を発症したことがない登山者が高山病を発症しないと言う保証はない。高山病を甘く見ず、常に高山に登る際は高山病にも留意して、安全で楽しい登山を心がけよう。

・白馬岳頂上宿舎
住所:長野県北安曇郡白馬村

URL:http://yamagoya.hakubakousha.com/facility/

※営業日時はホームページよりご確認ください

●【MAP】白馬岳頂上宿舎付近

※この記事の情報は2023年8月上旬のものです。白馬大雪渓ルートは2023年8月27日で通行止めとなっています。最新の情報は関連する自治体や施設のHPでご確認ください。