夏山シーズンで、標高の高い山に出掛ける人もいるだろう。そこで注意したいのが高山病だ。
高山病になったことがない登山経験者は「自分は大丈夫」と思っているかもしれない。じつは筆者もその一人だった。登山初心者の頃に、富士登山で発症しなかったからだ。しかしその後、富士山(標高3,776m)よりも標高が低い場所で2回高山病を発症してしまった。
この記事では、筆者が高山病になったときの山の天気や筆者のコンディション、症状などを振り返る。登山経験者はもちろん、これから登山を始める方も参考にしてほしい。
■高山病とは
高山病は、標高の高い場所で発症する。標高が上がるごとに気圧は下がり、酸素が薄くなるため、その環境に体が順応できず、頭痛や吐き気、疲労感、めまい、眠気などの症状を引き起こす。
参照:厚生労働省検疫所
FORTH|お役立ち情報|ここに注意!海外渡航にあたって|高地で気分が悪くなったら-高山病
URL:https://www.forth.go.jp/useful/attention/23.html
■1回目の高山病 鳥海山(秋田県)標高2,236m
筆者が初めて高山病になったのは、登山歴8年目の頃に登った、秋田県の鳥海山。標高1,150mの鉾立(ほこたて)登山口から山頂を目指し、鉾立に下山する、コースタイム約10時間のルートを歩いた。当日は登山口の天気はよかったが、鳥海山は雲の中だった。
登り始めて3時間ほど、標高2,000mあたりから軽い頭痛を感じたが、疲れているのだと思い、こまめに水分補給と小休止をしながら登り続けた。
稜線はかなりのガス。体調はだんだん悪くなり、頭痛に加えてめまいや息切れも感じるように。引き返そうかと思ったが、家から遠く滅多に来ることができない山だったため、山頂まで行きたい一心で登り進めてしまった。
山頂で昼食を食べ、眠気を感じたので少し昼寝をしたが体調は戻らず、重い足取りで下山開始。標高が2,000mを切ったあたりから体調が回復し始めたことで、高山病だと気づいた。登山口に戻ると、症状は嘘のようになくなっていた。
●考えられる原因
当時は仕事で疲れていたが、日帰りで登山をしたかったため、睡眠不足のまま早朝出発してしまった。それに加えて、山は雲の中。曇りだと気圧が低くなるので、標高の低い場所でも高山病になりやすい。この疲れや寝不足と気圧の低さで、高山病を発症したのだと思われる。
筆者はこのとき高山病だと気づかず昼寝をしてしまったが、高山病のときに寝ると取り込める酸素が減り、悪化するのだとあとから知った。