標高の高い山は、山頂からの眺めが美しく、登頂の満足感も高い。とくに富士山を代表とする高山では、登頂による満足感は格別だ。

 登山初心者や未経験者でも、「一度は富士山に登ってみたい」という声を耳にする。しかし、2,000m級以上の高山においては、滑落や気温低下とあわせて注意したいのが、「高山病」だ。この記事では、高所登山において避けるべき高山病につながるNG行為を5つ紹介する。

■NG行為1 自分の体力を無視しペース配分を考えずに登る

標高2,000mに近づくと高山病のリスクが高まる。写真は北海道羊蹄山(1,898m)(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 登山中には急登や階段などがあるが、山頂を目指し、ひたすら登り続けなければならない。

 大切なポイントは「平地と同じ感覚では歩かない」こと。登山では意識的に歩行ペースを落としたほうが、結果的に一定のペースで登り続けられる。

 登山中に呼吸が苦しくなり、少し登っては立ち止まるというような登り方を繰り返す初心者が多いが、明らかに運動量に対して呼吸が追いついていない証拠だ。

 この状態が長く続くと、呼吸による酸素が欠乏し、息切れから頭痛や吐き気といった高山病の症状が出ることになる。歩行ペースは体力に合わせ、意識的に緩めることが重要となる。 

高山病によく見られる症状のチェックリスト。赤色は特に重症のもの

■NG行為2 効率の悪い呼吸を続けてしまう

 ペース配分と合わせて注意すべきなのが呼吸。重い登山リュックを背負って斜面を登っていると、どうしても呼吸が乱れ口を大きく開けて、「ハー、ハー、」と息を吐くようになる。

 しかし、実は気圧の低い場所、つまり標高の高い場所でのこのような呼吸は、息を吐ききれていないケースが多い。結果的に呼吸が乱れれば乱れるほど、呼吸の効率は悪くなっていく。

 呼吸が苦しいときほど、「息を吐く」ことを意識しよう。気圧の低い場所では、口を小さくすぼめ、「フーッ」と強く吐くのがポイント。

 なお、鼻詰まりをしやすい人は、多少見栄えは悪くなるが、鼻腔を拡張するテープを活用するのもオススメだ。