大自然の中を自分の足で歩く登山は、街を歩くのとは違う危険がたくさん潜んでいる。そのため、山での危ない行動は遭難につながり、命にかかわる事態になることも。自分では「危ない行動」という自覚がなくても、経験者から見るとそう思われてしまう行動を取っているかもしれない。
この記事では、登山歴15年の筆者が実際に山で見かけた「危なすぎる」と思った登山者を紹介する。安全に山を楽しむためのルールも、あわせてお伝えしたい。
■事例1. ロープウェイ駅から30分の場所(往路)で「もう歩けない、水もない」
7月下旬の晴れた暑い日、場所は群馬県の谷川岳。ロープウエイ駅(天神平)からコースタイム30分ほどの場所で見かけた女性2人組の1人が「もう歩けない、水もなくなっちゃった」と泣きそうになっていた。午前9時半頃だったので、往路だろう。山頂まではあと2時間ほどかかる場所だった。
登山では多めに飲み物を持参するのが鉄則。夏ならなおさらだ。ルートにもよるが、行動時間6時間ほどの日帰り登山でも2Lは用意したい。また熱中症予防のためにも、喉が乾く前にこまめに水分補給をしよう。この飲み方は効率よく水分補給できるのでがぶ飲みが減り、持参した水を下山まで持たせることができる。
■事例2. 地図を持たず、下山ルートを聞いてくる
神奈川県の丹沢山域でのこと。塔ノ岳から東に30分ほど歩いた新大日で、地図を持たずに辺りを見渡している人がいた。そして筆者に「大倉バス停に行く下山ルートはどこですか?」と聞いてきた。しかし、新大日から大倉バス停までは下山ルートが複数ある。予定のルートを聞いたが口ごもってしまった。とりあえず無難なルートを伝えたが、無事下山できたのかはわからない。
登山では必ず地図を見て事前に行動計画を立て、登山届を提出してから登り始めよう。登山中もときどき地図を見て、予定したルートから外れていないか確認しながら進む習慣をつけたい。
地図は紙とアプリの両方を用意するのが望ましいが、必ずどちらか一つは持っていくこと。地図がないと道迷い遭難の原因となる。