■友人に異変が!  夕食時に頭痛を訴える

白馬岳頂上宿舎のバイキング形式の夕食

 14時過ぎに山小屋に戻ると、彼女は「寝不足なので少し横になる」と言う。筆者らは談話室で夕食まで他の登山者たちとおしゃべりして時間を過ごした。17時過ぎに彼女が起きてきて、一緒に食堂に向かう。彼女は体調が優れないと言うが、食べないと力が出ないので食べられる範囲で食事を皿によそっていく。

白馬岳頂上宿舎のバイキング形式の夕食、ミニケーキのデザートまで

 山小屋には珍しく夕食はバイキング形式になっており、メニューも豊富だ。個人の食欲に合わせて量を調節できるのが良い。

 食事の後、簡単に翌日の打ち合わせをして床に着いた。男女別室となっており、隣で布団に入った彼女が「頭が痛くて眠れない」と筆者に訴える。

■昭和大学の白馬診療所にかけこむ

白馬岳頂上宿舎内の昭和大学白馬診療所

 白馬岳頂上宿舎には昭和大学の白馬診療所があったので、筆者は直接医師に彼女の容態を説明して18時45分の診療予約をとった。

 彼女を起こし診療所に連れていくが、その途中でもトイレに駆け込み嘔吐を繰り返し、体調はさらに悪化している。診察室で問診が行われ、辛そうに返事する彼女に補足して、筆者は本日の行動や体調の変化、明日の行動予定、食べた物、飲んだ水分量、過去の高山経験などを医師に説明した。血中酸素濃度を測ると87%であったが、その後80%まで下がった。

 簡易ベッドに横たわる彼女は寒いと訴え、その顔に血色はない。吐き気と頭痛、寒気を訴える横で為す術もなく、筆者はただ見守るだけしかできなかった。医師に部屋に戻っても大丈夫だと伝えられ、筆者はその場を後にした。

 その後、彼女は痛み止めを服用し、吐き気止めを入れた点滴を受けながら、約30分酸素を吸い、症状が落ち着いた21時過ぎに部屋に戻って来て眠りについた。

白馬岳頂上宿舎内の相部屋