日本百名山の一つ、秋田県と山形県にまたがる鳥海山。その山容の美しさから、地元では「出羽富士」とも呼ばれている。

 今回はそんな鳥海山を間近で眺めながら、気軽に湿原歩きができる「竜ヶ原湿原」を紹介する。鳥海山の5合目に位置するこの湿原には、1周20~30分の散策路があり、短いながらも変化に富んだ散策ができる。

竜ヶ原湿原周辺の案内図(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 筆者が訪れたのは一昨年の9月中旬。木々の紅葉にはまだ少し早かったが、草紅葉と秋の高山植物が美しかった。3歳の娘とのんびり散策した様子をレポートする。

■竜ヶ原湿原へのアクセス方法

鳥海グリーンラインから見る鳥海山と秋の田園風景(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 竜ヶ原湿原は公共交通機関でのアクセスができないため、車で向かう。日本海東北自動車道・本荘ICで降り、鳥海グリーンライン(県道32号)を1時間ほど南に進むと竜ヶ原湿原の駐車場に着く。

 県外から電車や新幹線で向かうなら、秋田駅周辺でレンタカーを借りよう。秋田駅から竜ヶ原湿原までは車で約2時間だ。

 鳥海グリーンラインを走ると、広い田んぼの先に鳥海山を望む風景が楽しめる。9月中旬~下旬は、田んぼが黄金色に染まって美しく、行き帰りのドライブも気分がいい。

 竜ヶ原湿原駐車場の駐車スペースは約50台分。行楽シーズンや天気がいい日は混むため、早めに向かうとよい。駐車場にはトイレもあるので、ここで済ませてから歩き始めよう。

■はじめは草紅葉を楽しみながらの「木道歩き」

草紅葉が風に揺れ、秋の訪れを感じる(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 駐車場から舗装された道を進むと、すぐに祓川(はらいかわ)ヒュッテが見える。ヒュッテ右手には、雄大な鳥海山と整備された木道が見え、ここが散策のスタート地点となる。湿原の中の木道を鳥海山に向かって歩いていく。何とも言えない気持ちよさだ。

 筆者が訪れたときには湿原の草本が色づき、草紅葉がひろがっていた。9月中旬は下界はまだ夏の暑さが残る時期だったが、鳥海山5合目はもう秋。一足早い秋の風を感じながら木道を進んだ。

■木道沿いには秋の高山植物

高山植物のエゾオヤマリンドウ(撮影:ブラボーマウンテン編集部)
高山植物のミヤマアキノキリンソウ(コガネギク)(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 木道沿いには、山形県以北の高山帯に分布するエゾオヤマリンドウや、本州中部以北の高山帯に分布するミヤマアキノキリンソウ(コガネギク)などの高山植物が咲いていた。

 湿原保護のため、木道から下りずに観察しよう。