■塔ノ岳が登山のトレーニングに向いている理由
まず、関東圏にいくつか山があるなかで、塔ノ岳がトレーニングに適している理由をあげる。
「大倉尾根ルート」と「ヤビツ峠ルート」の2つの定番ルートがあるが、トレーニング=長時間登り続ける、という観点で、アップダウンの大きい「ヤビツ峠ルート」ではなく「大倉尾根ルート」のピストンを選んでいる。
●理由1:標高差
標高1,491mの山だが、登山口が山の麓にあるので、標高差1,200mを一気に登ることとなる。この標高差は、初級レベルの北アルプスを登るにあたって、良い練習になるといえる。
たとえば、北アルプスで標高差1,000m以下で登れる山があるので、参考までに例を挙げる。
・唐松岳:標高差861m(八方池山荘1,835m → 最高地点2,696m)
・涸沢:標高差746m(上高地1,504m → 最高地点2,250m)
もちろん標高差以外にも登山の難易度に関わる条件(その日の天候、斜度、登山道が整備されているか、酸素濃度など)はあるので、あくまでも参考であることを添える。
●理由2:行動時間
「大倉尾根ルート」のピストンで、総歩行距離は14kmになり、歩行時間は約7〜8時間で、1日歩き続ける練習にちょうどよいといえる。こちらもあくまで参考だが、日帰りできる北アルプス「燕岳」は、同程度の行動時間になる。
●理由3:精神力が試される
「大倉尾根ルート」は通称「バカ尾根」と呼ばれている。景色が開けず、階段が多い道を約3〜4時間登り続けることへの大変さからきている。これが、登り続ける精神力を鍛える要素になる。