梅雨が明けてからというもの、関東はひどく暑い日が続いている。これだけ暑いと、エアコンの効いた部屋に閉じこもりでもしない限り、どこにいても汗をかくことになる。仕事や私用で外出をしなければならない人は、毎朝、目覚めるたびに気が滅入っているのではないだろうか。

 かくいうぼく自身はというと、この夏も積極的に屋外に出て活動している。自然の中を歩いては大汗をかき、自宅周辺をランニングしてまた大汗をかく、といった具合だ。運動をして汗をたくさんかいて冷たいシャワーを浴びる方が、いさぎよいうえに気持ちもいいと考えてのこと。果たして、温泉やサウナのように身体が整っていく感覚を日常的に得ることができ、炎天下での運動がいつしか習慣になってしまった。

 海なし県に暮らしているからか、この季節になるとむしょうに海岸線を歩きたくなる。海岸沿いのトレイルはほとんどが海抜数メートルの低地ゆえに、熱中症対策は絶対に欠かせない。とはいえ、ギラつく太陽の暑さを忘れさせてくれるほど心地のよい海風にあたると、このうえない気持ちよさ。これがまたクセになってしまう。

 今回は、そんな気持ちのいい海岸線トレイルを、南北から2つ選んでみようと思う。

【北のおすすめ】青森県八戸市「みちのく潮風トレイル」の最初の区間は絶景続き!

海に突き出す砦のような葦毛崎展望台。蕪島神社から約3km地点

 ロングトレイルという言葉を聞いたことがあるだろうか。文字通り、長き道のりを意味する歩き旅のための道だ。地域の自然や歴史文化に触れられる道でもあり、歩く旅人の存在によって沿道の風景が完成する。

 そんな長き道のりの代表の一つに「みちのく潮風トレイル」がある。東日本大震災から日常を取り戻しつつある東北地方で、青森県から福島県にかけた太平洋の沿岸部を結ぶ1,000km以上のコース。沿岸部とはいっても、歩くのは海辺だけではない。山間や河川沿いも歩くし、島にも渡る。山里・海里・街中も通る。進むほどにどんどん風景は変化していき、広大な東北のさまざまな風土を楽しむことができるわけだ。

八戸市の沿岸部の暮らしに触れながら、のんびり歩きたいコースだ